【前編】借金があるけど妊娠した! 今知りたい借金整理の方法
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水戸市の「平成29年版統計年報」によると、水戸市では平成29年に2467人が出生しています。妊娠、出産はとても喜ばしいものです。特に、新たしい命を授かった妊娠期は、とても幸福な時期でしょう。
しかし、借金の返済に追われるために、心安らかな妊娠の時期を送れない人も存在します。借金の返済が妊婦に過度な負担になるものであれば、今後の出産にも悪影響を及ぼしかねません。したがって、妊娠がわかった時点で借金の問題は早急に解決に向けて動く必要があります。
ここでは、出産を控えた方にとって効果的な借金の整理方法について、ベリーベスト法律事務所・水戸オフィスの弁護士が解説します。
1、妊娠、出産後に必要になるお金の概要
さまざまな調査や統計などによりますと、妊娠、出産のために必要となるお金は、おおむね70万円弱とみておくべきでしょう。もちろん、この費用は妊婦や胎児の状況、さらに各家庭の支出スタイルにより大きく異なってきます。
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(1)出産前準備に必要になるお金(約6万5千円)
- 妊婦用品や衣料費など……約4万4千円
- 妊娠中の運動、学習、胎教、安産祈願費など……約1万5千円
- 妊娠中の家事サービスなど……約6千円
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(2)病院へ必要になるお金(約61万円)
- 出産前の定期健診費……約10万円
- 出産時の入院費用など(正常分娩の場合)……約50万円(病院により異なります)
- 産後2週間健診……3000円~
2、妊娠、出産後に利用できる助成金などについて
妊娠、出産は病気ではないという観点から、原則自費診療となります。しかし、行政や健康保険組合などでは、助成金などの支援制度を実施しています。助成金の額や適用範囲は自治体によって異なるのですが、ここでは水戸市の場合をベースにご紹介しましょう。
また、勤務先などからも祝い金など受けられることもありますので、あなたや配偶者の勤務先の福利厚生制度をチェックしておいてください。
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(1)妊産婦医療福祉費助成制度
医療機関にかかったときの自己負担額を補助する制度です。水戸市の場合は以下のとおりです。
- 外来検診(調剤薬局を除く)の場合……医療機関ごとの自己負担額が、1日の上限を600円として月2回まで
- 入院の場合……医療機関ごとの自己負担額が、1日の上限を300円として月3,000円まで
妊産婦医療福祉費支給制度を利用するためには、母子健康手帳の交付を受けていること、健康保険に加入していること、妊産婦本人と配偶者、および同一世帯の父母など扶養義務者の所得が基準額未満であることなどの要件があります。
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(2)妊婦一般健康診査
健康保険の適用を受けることができない妊娠中の健康診査に対して、14回分の補助を受けることができる制度です。母子健康手帳交付時に受診票が配布されます。
また、里帰り出産のため、水戸市以外の自治体にある医療機関で妊婦健診を受診した場合でも、その費用に対し助成を受けることができます。ただし、後払いによる助成となる点に注意が必要です。 -
(3)出産育児一時金
被保険者が出産したときに、健康保険組合から支給を受けることができます。支給額は、出産した病院が産科医療補償制度(分娩が原因で身体障害1、2級相当の重度脳性マヒになった子どもとその家族への補償制度)に加入しているか否かで変わります。
- 産科医療補償制度に加入の医療機関などで出産した場合……42万円
- 産科医療補償制度に未加入の医療機関などで出産した場合……40万4千円
- 妊娠12週(85日)以上で死産または流産となった場合……40万4千円
ただし、出産一時金制度を利用する際は、国民健康保険であれば水戸市役所へ申請が必要です。その他健康保険に加入している場合は、加入保険組合に問い合わせてください。
なお、出産育児一時金は、直接支払制度を利用すると出産した本人または家族ではなく医療機関に直接支払われます。このため、医療機関に支払うために用意しておくお金は、比較的少額ですみます。
3、妊娠中も、借金返済は待ってくれない!
喜ばしい妊娠も、借金がある場合はその返済を待ってもらう理由になりません。妊娠、出産を理由とした返済の延期を相手方が同意しないかぎり、借金は当初の約束どおり返済しなければならないのです。
借金の返済を滞らせると、自宅への督促はもちろんのこと、訴訟や差し押さえのリスク、さらには利息や遅延損害金などによって借金の額が膨らんでしまうこともあり得ます。妊娠、出産という大事なイベントを控えているのであれば、借金の問題だけは早期の解決に向けた取り組みを始めておきたいものです。
そこで後編では、実際に借金を整理する方法について、ベリーベスト法律事務所・水戸オフィスの弁護士が解説します。ぜひご確認いただき、憂鬱な気持ちで出産日を迎えないためにも、弁護士に相談してください。
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