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自己破産の裁量免責とは? 免責不許可事由の具体例や認められる基準

2022年09月08日
  • 自己破産
  • 裁量免責
自己破産の裁量免責とは? 免責不許可事由の具体例や認められる基準

水戸地方裁判所が2020年に新たに受任した破産・再生・会社更生事件の件数は、450件でした。

借金返済ができなくなったときの手段として、自己破産を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。しかし、裁判所に自己破産を申し立てたとしても、すべての事案で自己破産が認められるわけではありません。

たとえば、負債の原因が、収入に見合わない浪費だったり、頻繁なギャンブルだったりといった「免責不許可事由」にあたると、原則として破産免責が認められません。一方で、免責不許可事由があっても、例外として、裁判所の判断による「裁量免責」が認められることもあります。

今回は、自己破産手続きにおける免責不許可事由と裁量免責について、ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスの弁護士が解説します。

出典:「令和2年版統計年報 109 民事事件件数」(水戸市)

1、自己破産における「裁量免責」とは?

自己破産手続きにおける「裁量免責」とは、免責不許可事由があるにもかかわらず、裁判所の判断によって破産免責を認めることを意味します(破産法第252条第2項)。

  1. (1)原則として免責不許可事由がある場合、破産免責は認められない

    債務者が自己破産を申し立てる最大の目的は、裁判所の免責許可決定を得て、最終的に債務全額を免責してもらうことでしょう。

    しかし、免責不許可事由(破産法第252条第1項各号)が存在する場合には、破産免責を認めないのが原則とされています。

    破産手続きに対する非協力的な行為や、破産者の更生可能性に疑義を生じさせる事情などがある場合、破産免責を認めることは適当でないと考えられるからです。

  2. (2)裁判所の裁量で破産免責が認められることがある

    ただし、免責不許可事由が存在する場合でも、裁判所の裁量によって破産免責が認められることがあります(破産法第252条第2項)。

    これを「裁量免責」と言います。裁量免責は、裁判所が破産者に関する事情を総合的に考慮して、柔軟に破産免責を認めることを目的とする制度です

    実務上は、免責不許可事由が存在する多くのケースにおいて、裁判所の判断による裁量免責が認められています。

2、免責不許可事由の一覧

裁量免責の可否が問題となるのは、免責不許可事由が存在する場合です。
破産法第252条第1項各号では、免責不許可事由として以下の11の行為を定めています。

① 財産減少行為
債権者を害する目的で、財産を隠匿・損壊・処分するなど、破産財団(動産や不動産、換価価値のある情報や権利等)の価値を不当に減少させる行為は免責不許可事由に当たります。

② 不当な債務負担行為等
破産手続きの開始を遅延させる目的で、著しく不利な条件で債務を負担する行為は免責不許可事由に当たります。

また、信用取引により商品を買い入れたうえで、著しく不利益な条件で処分する行為も同じく免責不許可事由に当たります。

③ 不当な偏頗(へんぱ)行為
既存の債務のうち、特定の債権者に係るものだけを特別に弁済する行為のうち、義務のない内容・方法・時期によるものは免責不許可事由に当たります。

④ 浪費・賭博その他の射幸(しゃこう)行為
浪費や賭博によって著しく財産を減少させ、または過大な債務を負担する行為は免責不許可事由に当たります。

⑤ 詐術を用いた信用取引による財産の取得
破産手続開始の申立て前1年以内に、支払不能ではないと偽る詐術を用いて、借り入れをしたり、信用取引をしたりして財産を取得する行為は免責不許可事由に当たります。

⑥ 帳簿・書類等の隠滅・偽造・変造
業務・財産の状況に関する帳簿・書類などを隠滅・偽造・変造する行為は免責不許可事由に当たります。

⑦ 虚偽の債権者名簿の提出
裁判所に提出する債権者名簿(債権者一覧表を含む)に、虚偽の事実を記載する行為は免責不許可事由に当たります。

⑧ 裁判所への説明拒否・虚偽説明
破産手続きの一環として裁判所が行う調査において、説明を拒み、または虚偽の説明をする行為は免責不許可事由に当たります。

⑨ 破産管財人等に対する職務妨害
不正の手段により、破産管財人・保全管理人・破産管財人代理・保全管理人代理の職務を妨害する行為は免責不許可事由に当たります。

⑩ 7年以内の破産免責等
免責許可の申立て前7年以内に、以下のいずれかの決定が確定している場合は免責不許可事由に当たります。
  • 破産手続きにおける免責許可決定
  • 給与所得者等再生に係る再生計画の認可決定
  • 小規模個人再生において、再生計画遂行が極めて困難となったことを理由とする免責決定(いわゆる「ハードシップ免責」)

⑪ 破産法上の義務違反
上記のほか、債務者が破産法上の義務に違反した場合、すべて免責不許可事由に当たります。


なお、免責不許可事由が存在すると思われる場合、破産者の財産が少ないケースでも管財事件として取り扱われ、破産管財人による調査が実施されるのが通常です。

3、裁量免責を認めるかどうかの判断基準は?

免責不許可事由がある場合に裁量免責を認めるかどうかは、裁判所が諸般の事情を考慮して裁量的に決定します。

そのため、裁量免責の判断における一律の基準はありませんが、裁判所はおおむね以下の要素を考慮したうえで、裁量免責の可否を判断する傾向にあります。

  1. (1)免責不許可事由の重大性

    免責不許可事由が重大なものであれば、破産免責を認めるべきではないという価値判断が働きやすいため、裁量免責は認められにくくなります。

    たとえば以下のような場合には、破産免責を得ることは困難でしょう。

    • 破産者が再三にわたって破産手続きを妨害し、裁判所が注意しても行動を改めなかった。
    • 破産者が度重なる財産減少行為や偏頗行為をし、詐欺破産罪で有罪判決を受けた。
    • あまりにも短期間のうちに、複数回にわたって自己破産の申立てが行われた。


    これに対して、免責不許可事由が比較的軽微な場合は、破産者の反省や更生への意欲などが認められれば、裁量免責が認められる可能性が高いです
    たとえば以下に挙げる場合には、裁量免責を獲得できる見込みがあります。

    • 浪費やギャンブルで借金を作ってしまったが、破産者が真摯に反省し、更生への意欲を見せている。破産者を近くで支える親族もいる。
    • 5年前に破産免責を受け、今回が2度目の自己破産申立てだが、コロナ禍の影響で事業が失敗したことによるもので、やむを得ない部分があった。
  2. (2)破産手続きに協力したかどうか

    破産者が破産手続きについて真摯に協力する姿勢を見せれば、反省や更生への意欲の表れであると評価され、裁量免責が認められる可能性が高まります。

    そのため、提出を求められた書類を速やかに提出したり、破産管財人や裁判所の質問に対して真摯に回答したりするなど、破産手続き全体を通じて協力的な姿勢を崩さないように努めましょう。

    これに対して、破産者に破産手続きを妨害するような行動が見られると、それ自体が免責不許可事由に該当するうえに、裁量免責を得られる可能性も低くなってしまうので要注意です。

  3. (3)経済的更生の可能性があるかどうか

    裁判所は、仮に破産免責を認めたとして、その後破産者がきちんと経済的に更生できる可能性がどの程度あるかについても注意深く検討しています。

    破産者としては、経済的な更生への意欲を裁判所にアピールするため、たとえば以下の取り組みを行うことが推奨されます。

    • 安定した収入を得るための求職活動を行う
    • 周囲の親族などのサポートを得る
    • 生活費を見直したうえで、節約生活を一定期間続ける
    など


    上記の各取り組みを行ったうえで、その結果を示す書面などを裁判所に提出すれば、裁量免責が認められる可能性が高まるでしょう。

4、裁量免責が認められなかった場合の対処法

免責不許可事由があり、裁判所による裁量免責も認められなかった場合、そのままでは従前どおり債務を返済し続けることになってしまいます。

債務者としては、万が一裁量免責が認められなかった場合、以下の対応をご検討ください。

  1. (1)即時抗告を行う

    裁判所の免責不許可決定に対しては、「即時抗告」という異議申立てが認められています(破産法第252条第5項)

    即時抗告の期間は、免責不許可に関する裁判所の送達を受けた日から1週間です(破産法第13条、民事訴訟法第332条)。

    即時抗告を認めてもらうには、裁判所が重大な事実を見落として免責不許可決定を行ったことを、客観的な資料に基づいて示す必要があります。かなりハードルは高いですが、弁護士のサポートを受けながら、迅速に十分な準備を整えることが大切です。

  2. (2)個人再生を申し立てる

    破産免責が得られずに自己破産が失敗しても、他の債務整理手続きにより債務負担を軽減する道は残されています。

    特に個人再生は、元本を含めた債務を大幅に減額できる可能性がある債務整理手続きです。
    免責不許可事由があるとしても、個人再生を申し立てて、再生計画につき債権者の決議・裁判所の認可を得れば、債務の減額を実現できます

    個人再生の手続きは複雑かつ専門的ですが、弁護士にご依頼いただければスムーズな対応が可能です。借金の負担が重くお困りの方、自己破産が失敗するのではないかと不安な方は、お早めに弁護士までご相談ください。

5、まとめ

免責不許可事由がある場合、自己破産手続きにおける免責は認められないのが原則ですが、裁判所の判断によって裁量免責が認められる余地は残されています。

破産者としては、真摯(しんし)な反省と経済的更生に向けた意欲を示して、裁判所に裁量免責を認めてもらえるように働きかけることがポイントです。また、仮に裁量免責が認められなくても、個人再生など別の手続きを利用すれば、債務負担を軽減できる可能性は残っています。

ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスでは、借金の返済でお困りのお客さまに合った手続き・方法をご提案し、迅速に債務負担の軽減を実現できるように尽力いたします。

債務整理に関するご相談は、ぜひお気軽に当事務所へご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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