相手が弁護士を立ててきた!協議離婚・離婚調停の交渉で弁護士に相談すると良いケース
- 離婚
- 弁護士
- 相談
- 協議離婚
- 離婚調停
協議離婚や離婚調停においては、交渉の進め方が重要です。
相手が弁護士をつけてきた場合は、1人で交渉を有利に進めることは難しくなります。こちらも弁護士をつけることが賢い選択です。
今回は、納得いく離婚をするために、交渉を有利にするために知っておくべきこと、弁護士に依頼するメリットを、ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスの弁護士がご説明します。弁護士をつけるべきケースや弁護士を選ぶポイントも同時に解説します。
1、離婚に弁護士が必要な理由とは?
まずは、離婚で弁護士が必要となる理由について解説します。
弁護士がいないと不利になる理由や、弁護士をつけた方がよいケースを見ていきましょう。
-
(1)弁護士のいない側が不利となる理由
相手に弁護士がいて、こちらに弁護士がいない場合、離婚条件で圧倒的に不利になります。その理由は、交渉相手は離婚のプロでこちらは素人であるということです。
弁護士は、離婚だけでなくさまざまな交渉を引き受けるプロです。法律の知識を駆使して、依頼人に有利になるように交渉を進めることが仕事です。交渉を進める相手が素人である場合は、弁護士が有利に交渉しやすい状況といえます。
そのため、相手に弁護士がいて、こちらに弁護士がいない場合、離婚そのものだけでなく、婚姻費用分担請求や、慰謝料、財産分与、養育費など離婚条件に関するすべての事柄について不利な結果となる可能性が高くなります。
協議離婚だけでなく、離婚調停であっても状況は同じです。
離婚調停において弁護士は、依頼人の希望を叶えるためにアドバイスをするだけでなく、調停にも同席できます。その場で発言することにより、調停委員を有利な方向に誘導し、相手に妥協案を提案することもできます。
このように、「弁護士が相手についていて、こちらにはいない」という状況では、交渉において圧倒的に不利です。
離婚では、法律の知識だけでなく、交渉のスキルも重要となります。 -
(2)弁護士に依頼した方がいいケース
弁護士に依頼した方がよいケースとしては、次の3つがあります。
①相手が離婚に応じない場合
相手が離婚そのものに同意しない場合は、離婚自体が難しくなります。
同意までに時間がかかり、新しい生活を始めることにも遅れが出てしまいがちです。しかし、弁護士に依頼すれば比較的早く同意を得られる可能性があります。
弁護士がつけば、離婚の決意が固いということが相手に伝わり、相手も真剣に離婚に向き合うようになるため、離婚までの道のりが短くなる可能性があるのです。
②離婚調停の場合
離婚調停を申し立てる夫婦では、間に弁護士を立てる夫婦が増えています。
2020年版弁護士白書によれば、申立てを行う側、相手方双方に弁護士が付いている割合は、約54%という結果が出ています。
※参考:弁護士白書 2020年版 夫婦関係調整調停事件における代理人弁護士の関与状況
離婚調停は、調停委員を挟んでの離婚に関する話し合いの場であり、弁護士が必ず必要なわけではありません。
しかし、交渉を有利に進めたい場合には、専門家である弁護士に相談することが近道になります。
特に、相手に弁護士がいる場合には、こちらも対等に交渉の場に立つために、弁護士を立てる方がよいといえるでしょう。
③離婚裁判の場合
裁判となると、法的主張を整理して、適切に効果的な主張をしていかなければいけません。調停と違い、主張は基本的に書面にまとめて提出する必要があります。
裁判のルールが何もわからないという状態では、圧倒的に不利な状況となります。
調停を経て、裁判にまで発展してしまった場合には、できるだけ早めに弁護士に相談することをおすすめします。
上記3つのケースでは、弁護士に依頼することを強くおすすめします。
特に、裁判では負けてしまう可能性が高いため、訴えを起こされたときはすぐに弁護士ご相談ください。
2、離婚条件の交渉で注意すべきポイント&弁護士に依頼するメリット
離婚条件を有利に交渉するためのポイントと、弁護士に依頼するメリットについてご説明します。
-
(1)交渉を有利に進めるポイント
①交渉で妥協しないこと
同意したくないことには、「同意できない」とはっきり伝えることが肝心です。
例えば、相手が提示した離婚条件に同意できない場合は、同意してはいけません。
早く離婚を成立させるため、「もうこれでいい」と諦めてしまう方もいます。
しかし、離婚条件に妥協してしまうと、後で後悔することになります。
疲れや焦りが出てきた場合には、無理に話を進めず、一旦休憩を挟んで話し合いを継続するようにしましょう。
相手に弁護士がついている場合も同じです。弁護士は当事者双方の妥協点を提示します。これは協議離婚でも離婚調停でも同じです。「お互いが譲歩することで離婚の話し合いを進めている」という状況に持ち込むことがありますが、実は相手にとって有利な条件の場合もあります。
相手の弁護士は自分の味方ではなく、相手の味方です。交渉に応じたくないのであれば、無理をする必要はありません。
②相手や弁護士からのプレッシャーに負けないこと
相手に弁護士がいて、こちらにはいないという場合、精神的に負担となってしまうことがあります。弁護士は離婚をまとめるために、あらゆる提案をしてきます。
これに対しプロを相手にうまく交渉しなければいけないと思うと、上手に立ち回ることは難しくなります。自分一人ではプレッシャーに負けないか不安だという場合は、信頼できる人に立ち会ってもらうと言う方法もあります。
また、正式に依頼するかは別として、事前に弁護士に相談し、予想される争点についての主張、相手の主張に対する反論を準備しておけば、プレッシャーを軽減することができるでしょう。 -
(2)離婚を弁護士に依頼するメリット
離婚を弁護士に依頼するメリットは、次の3つです。
①離婚の手続きすべてを任せられることができる
離婚には、たくさんの法的手続きが必要になります。協議離婚の場合でも、話し合いで決めたことを書面に残しておかなければ、後でトラブルになるおそれがあります。
慰謝料や養育費など有利な条件で離婚したい場合でも、弁護士がついていれば安心して任せることができます。離婚調停の場合には、調停の申し立て手続きから進行、裁判所とのやりとりまですべて任せることができます。
離婚に関するあらゆる手間が省けて、引越しや新しい生活の準備を始めることが可能です。
②精神的負担を軽減できること
離婚は、精神的にも負担の大きい出来事です。
1日でも早く新しい生活に踏み出したいのに、慰謝料や親権などの条件面などで、なかなか折り合いがつかないと精神的な負担はどんどん大きくなります。
最愛の人だったのなら、なおさら別れるだけでも負担は大きいことです。これにプラスして離婚手続きの負担がある場合は、もっと辛い状況になります。
弁護士がいれば、離婚に関する手続きは任せることができるため、精神的負担を軽減できます。1人では見通しが立たない離婚も、専門家がついていれば安心できるでしょう。
法的にわからないことも、弁護士へ質問することができますので、安心して離婚を進めることができます。
③離婚を有利に進められること
離婚では、慰謝料や養育費、親権や財産分与、家のローンのことなど相手と交渉しなければいけないことがたくさんあります。
自分の希望通りに離婚したい場合には、専門家に任せてしまうのが一番です。弁護士は交渉のプロですので、法律の知識をもとにあなたにとって有利に交渉を進めます。
当事者のみで交渉している場合は、お互いに妥協せず進まないことも多々あります。間に第三者が入ることで、離婚の話し合いもスムーズに進み、早く離婚が成立するでしょう。
このように、離婚を弁護士に依頼することには3つのメリットがあります。
特に相手に弁護士がついている場合は、これらのメリットは大きくなります。
3、離婚で弁護士ができること。弁護士選びのポイントは?
次は、離婚で弁護士ができることと弁護士選びのポイントをお伝えします。
-
(1)離婚で弁護士ができること
離婚を弁護士に依頼する際、実際に弁護士はどのようなことができるのか、気になる方もいらっしゃるでしょう。
弁護士ができることは基本的には、以下の4つです。
①交渉・調停でのアドバイス
弁護士は依頼者の希望通りの離婚条件にするため、必要なアドバイスを行います。
例えば、「不倫で離婚するため、相手から慰謝料をできるだけ多くもらいたい」という希望があれば、不倫慰謝料の相場、慰謝料を請求するために必要な証拠などをお伝えし、実際に可能な請求についてご提案します。
また、離婚調停の場合は、調停委員の印象を良くするために必要なことや、どのように受け答えすれば良いのかという細かいところまでアドバイスできます。
わからないことがあれば、質問することで不安を解消できるでしょう。
②各種手続き・交渉の代行
各種手続きや交渉の代行も弁護士ができることです。
離婚条件に関する取り決めにつき、公正証書を作成することや調停の申し立て、調整手続きなども、代行することができます。
どのような条件での離婚を希望しているかを確認したうえで、調停申立書を作成し、手続きを行います。
依頼人に各種書類の収集をお願いすることはありますが、基本的に法律に関する手続きについては、弁護士が代行することが可能です。
③離婚調停での付き添い
離婚調停では、家庭裁判所にて離婚当事者のそれぞれが調停委員と離婚に関する話し合いをすることになります。このとき、「きちんと受け答えできるか不安」なケースもあるでしょう。
弁護士に依頼すれば、調停での付き添いもお願いすることが可能です。
横に弁護士がいるという安心感からスムーズに調停が進むだけでなく、必要があれば弁護士が誤りを正したり、主張を補強したりすることもできるため、調停も有利に進ませることができます。
調停の前には事前に打ち合わせをするため、作戦を考えることもできます。
④裁判での代理人
離婚調停が不成立となった場合、残る選択肢は離婚の話し合いを当事者同士で続けるか、離婚裁判に持ち込むかです。
弁護士は依頼人の代理人として法廷に立ち、法的主張を展開します。
裁判で勝つ見込みや、現在どのような状況にあるかについても説明を行い、ときには打開策についても提案します。裁判は複雑な手続きが必要になりますが、すべての手続きを任せることができるでしょう。
このように、離婚で弁護士ができることは大きく分けて4つあります。
何をしてもらえるのかについて不安がある場合は、一度法律事務所に相談してみると良いでしょう。 -
(2)離婚問題で弁護士を選ぶポイント
離婚問題で弁護士を選ぶポイントをご説明します。
②しっかりと話を聞いてくれること
話を聞かないと法律上のアドバイスはできません。
依頼者は「こんなこと聞いて大丈夫かな?」と不安になることもありますが、どんなことでも質問してみるのが大切です。
質問したら、弁護士がきちんと受け答えしてくれるかチェックしてみましょう。
いくら知識があっても難しい言葉を並べ立てるだけで、わかりやすく説明してくれないような弁護士は避けるべきです。コミュニケーションがしっかりととれる弁護士を選ぶことがポイントです。
③不利な点について説明してくれること
依頼人にとってプラスになることだけではなく、不利な点もしっかりと説明してくれる弁護士を選ぶことが大切です。
相手にも弁護士がいる場合、必ずあなたにとって不利な点をついてきます。それについてもどのように対応すべきかについてきちんと説明してくれる弁護士を選びましょう。
④レスポンスが早いこと
「担当弁護士に聞きたいことがあるのになかなか連絡がとれない」というのでは、せっかく弁護士に依頼しても精神的な負担は軽減できません。
できるだけ連絡が早く、対応力のある弁護士を選んでください。
弁護士は忙しいため、すぐに連絡がとれないこともあるかもしれませんが、何日も連絡が取れないことは、通常はありません。
仮に、連絡を度々怠るようなことがある場合は、良い弁護士とはいえません。
⑤離婚を多く扱っている弁護士であること
離婚を専門または数多く扱っている弁護士は、たくさんのケースをみています。
その分、対処法も多く知っています。
なかには、別の分野には詳しいが離婚分野は普段扱っていないので詳しくないという弁護士もいます。
できるだけ離婚分野について詳しく、経験豊富な弁護士を選ぶようにしましょう。
以上が、離婚問題で弁護士を選ぶポイントです。
弁護士を探す際の参考にしてみてください。
4、弁護士費用の相場と依頼した場合の流れ
弁護士に依頼しようと思った時に気になるのは、やはり実際にかかる費用と、今後どのように展開していくのかという点でしょう。
弁護士に依頼した場合にかかる弁護士費用と依頼した後の一般的な流れについてご説明します。
-
(1)弁護士費用の相場はどれくらい?
弁護士費用は、大きく分けると着手金と報酬金(成果報酬)の2つがあります。
②着手金
着手金とは、実務に着手する際にかかるお金のことです。相場は30万程度です。
もっとも、事務所によっては、着手金ゼロの法律事務所もあります。
この場合、報酬金で採算をとるケースが多いです。初期投資にお金をかけたくない方は、着手金無料の法律事務所を探してみるとよいでしょう。
③報奨金
報酬金とは、成果に応じて発生する費用です。
相場としては、報酬金で30万円+経済的利益の10%程度といわれています。
もっとも、実際には、各法律事務所によってばらつきがあるため、一概にいくらといえないのが実情です。
また、離婚そのものとその他(婚姻費用分担請求、慰謝料請求、親権、養育費、財産分与等)では別に費用がかかります。
具体的にいうと、離婚そのもので30万円かかった場合でも、慰謝料で300万円の請求が認められた場合には、このうちの10%である30万円を別途支払わなければいけません。
これら以外にも、実費や裁判所に納める費用(調停や裁判で必要になる収入印紙や郵便切手代など)などがかかります。
詳しくは弁護士までご確認いただくことをおすすめいたします。 -
(2)弁護士に依頼した後の一般的な流れ
最後に、依頼した後の一般的な流れについてご説明します。
弁護士に依頼した後は、離婚の段階に合わせて実務が行われます。
離婚では、3つの段階がありますので、それぞれにわけてご説明します。
②協議離婚
まずは、協議離婚です。
協議離婚とは、夫婦間で話し合いが行われている段階です。
場合によっては、相手にも弁護士がついていることもあります。
弁護士は、依頼人に代わり離婚の意思、離婚条件などを相手に伝えます。
また、依頼人の希望を叶えられるよう有利に交渉を運びます。
無事、離婚と離婚条件についてまとまった後は、内容を公正証書にします。
内容としては、財産分与、慰謝料、親権、子供との面会の取り決めなどがあります。離婚条件を文書でまとめたうえで、離婚届を提出すれば無事離婚成立です。
仮に、まとまらなければ離婚調停に進みます。
③離婚調停
次に、離婚調停です。
話し合いで決裂しているという段階では、離婚調停をおすすめすることがあります。
離婚調停は、家庭裁判所に対し離婚調停の申立てを行うことで開始されます。
調停委員を挟んで何度か家庭裁判所を訪れ、離婚に向けた話し合いを進めていきます。
多くは半年程度で終了しますが、財産分与などの離婚条件で折り合いがつかない場合は1年かかるケースもあります。
離婚調停が成立したら、調停調書をもって離婚届けを役所に提出し、事件終了です。
調停が不成立となった場合には、裁判か当事者同士の話し合いに戻ることになります。
④離婚裁判
最後に、離婚裁判です。
離婚裁判は、離婚調停が不成立の場合のみ開始することができます。
離婚調停までは、強制的に離婚が成立することはありませんが、離婚裁判では裁判官が離婚を認めるか認めないかの判断を下します。
弁護士が申し立てから訴訟手続、口頭弁論などを行い、最後に判決となります。
離婚裁判の期間は早ければ半年程度ですが、1年近くかかることもあります。
判決で離婚そのものに関する判断・離婚条件に関する判断が下され、それが結論となることもありますが、裁判所から和解を促されることもあります。
以上が、弁護士に依頼後の一般的な流れです。
5、相手が弁護士を立ててきた場合には、自身も弁護士を立てて対策を
裁判になると離婚まで長期化する可能性が高くなるため、できるだけ早めに弁護士へご相談ください。
相手が弁護士を立てて来た場合、法的知識のない方が対応するのは非常に困難です。自身も弁護士を立て、対策を行うことが最善と言えるでしょう。
離婚で弁護士に相談すべきかお悩みの方は、ぜひベリーベスト法律事務所 水戸オフィスにお任せください。
ご納得のいく結果が得られるように、ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスの弁護士が全力を尽くします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています