離婚した後でも養育費の金額変更は可能?

2021年05月20日
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離婚した後でも養育費の金額変更は可能?

令和元年の全国の離婚率は1.7%(人口1000人当たり)だったのに対して、茨城県の離婚率は1.66%(人口1000人当たり)と、全国平均を少し下回る離婚率となりました。

全国平均から見て低い数値だったとしても、それはあくまで平均の話、離婚された方一人ひとりにとっては、そんなことより、離婚後の生活が大きな問題です。その中でも養育費についてはこじれやすく、中には、離婚後の生活状況に変化が起き、養育費の金額を変更したいという方もいらっしゃるでしょう。

今回は、離婚をした後に養育費の金額変更をしたいと思っていらっしゃる方に向けて、そもそもそれは可能なのかということから、水戸の弁護士が解説します。

1、離婚後、養育費の金額を変更することは可能

親権や財産分与など、さまざまな条件を決めたうえで離婚する方も多いでしょう。

では、いったん決めた離婚条件のうち、養育費については離婚後に変更することは可能なのでしょうか。結論から言えば、変更はできます

まず、養育費は、当事者の合意があれば、基本的にはその内容を自由に決めることができます。そして、それは離婚後であっても変わりません。いったん成立させた内容について、「変更する」と当事者間で合意した場合には、その変更した内容で養育費が支払われることになります。

2、離婚後の養育費の金額変更について、相手と合意が得られない場合

もっとも、養育費の内容について変更を求めても、相手方がそれに応じなければ変更はできません。そのようなときは、次のような対処方法が考えられます。

  1. (1)離婚後に事情が変わったことを主張する

    まず、後述する裁判所の手続きを利用して、離婚後に事情が変わったことを主張することが考えられます。

    しかし、裁判所の手続きを利用し、養育費の変更を求めるためには、その取り決めを変えなければ不相当、といえるような状況の変化を裁判所に対して説明し、納得してもらう必要があります

    たとえば、養育費を受け取る側が、養育費を決めた当時は健康で働くことができ収入があったが、その後病気を患い働くことができず、収入が大きく減ってしまった場合などです。このままでは、もともとの取り決めした金額で子どもを養うことが難しい状況となっています。

    このような場合には、裁判所の手続きを通じ養育費の変更が認められる可能性がある、といえるでしょう。

  2. (2)離婚時の合意の有効性について争う

    これは、特殊なパターンですので主張できる場面は限られています。

    たとえば、夫婦の性格の不一致で離婚することになった例を考えてみましょう。子どもの親権者は妻としたうえで、夫に十分な財産や収入があり、妻はパート収入しかないにもかかわらず、養育費や財産分与はなし、という著しく不公平な離婚条件を、夫が妻を脅して無理矢理のませたとします。

    このような場合、妻側は上記の離婚条件をきちんと納得して受け入れたわけではなく、強制的に受け入れざるをえない状況だったといえ、合意を取り消したり、無効を主張したりできる可能性があります

3、離婚後、養育費の金額変更についての裁判所の手続きとは

離婚後、養育費の変更などを求めることができる裁判所の手続きとはどんなものなのでしょうか。

  1. (1)裁判所に対して養育費の変更を求める手続きとは

    実は、養育費の金額変更について、裁判を起こして請求することはできません。
    この場合、裁判所の手続きである、「調停」や「審判」で請求することになります

    「調停」とは、話し合いを基本とした、裁判所の紛争解決手続きです。裁判官と調停委員が、当事者の話を聞き、当事者と協力しながら解決方法を探ります。

    なお、「調停」と同じような手続きとして、話し合いをしつつも最終判断は裁判所に仰ぐ「審判」という手続きもあります。この「審判」は、養育費の調停が不成立となった場合に自動的に移行する手続きです。なお、法律上、調停ではなく審判を最初から申し立てることも可能です。

    とはいえ、審判事件として申し立てをしても裁判所が必ず審判として扱ってくれるとは限らず、多くの場合は調停に付されます。基本的には調停からと考えておきましょう。

  2. (2)調停・審判の流れ

    ● 調停を申し立てる
    養育費を増額または減額してほしい人から、元パートナーに対して、調停を管轄の家庭裁判所に申し立てます。

    ● 調停で相手方当事者と話し合う
    調停は、当事者の話し合いを基本とした手続きです。当日には、双方が裁判所に呼び出されますが、当事者が直接顔を突き合わせて話し合うということはしません。調停委員に言い分を伝え、それを別室にいる相手に調停委員から伝えてもらうことを通して、やり取りします。かかる時間は1回2時間ほどで、通常は2~3回に分けて行われます。

    話し合いがまとまり、養育費の額が決まれば、調停が成立し、手続きは終了です。

    ● 調停不成立の場合、審判手続へ
    調停で話し合いを尽くしたにもかかわらず、合意に至らなかった時には、調停は不成立となり、その後自動的に審判手続に移行します。そこでは、裁判所が養育費の増減を認めるか、認めるとすればいくらかを判断します。

4、離婚後の養育費変更を弁護士に相談するメリット

離婚後の養育費の金額変更は、一度した取り決めを覆すことになるため、おひとりで相手方とやり取りしても、不調に終わってしまうこともあるでしょう。この点弁護士であれば、知識と経験を総動員して、養育費の金額変更に向けサポートすることが可能です。

具体的には、

  • 適切な養育費の金額を算出することや、養育費変更を求めなければならない理由について法的根拠を用いた説得力のある説明ができる
  • 精神的な負担が大きいであろう、相手方との交渉の代理人となることができる
  • 調停の場合、調停期日前後での対応や準備のアドバイスをし、期日では隣に座って調停委員や裁判官とのやりとりを的確にサポートできる


弁護士に依頼した場合、以上3つのメリットが考えられます。

離婚前でも離婚後でも、弁護士がお力になれることは数多くあります。もっとも、事態が悪化した後では対応が難しい場合もありますので、手遅れとならないよう、どうぞお早めにベリーベスト法律事務所 水戸オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています