配偶者が浮気! 離婚・慰謝料請求のポイントと弁護士相談のメリット
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平成29年度の水戸市の離婚件数は、婚姻の数が少なくなっているにもかかわらず、478件と5年前の460件と比較すると少し増えています。バツイチなどの言葉も社会的に定着し、離婚に抵抗が少なくなったことも影響しているのかもしれません。
夫婦が離婚する理由はさまざまですが、配偶者に浮気をされ、慰謝料を請求すべきか、離婚すべきか、今まさに悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、浮気を原因として離婚したからといって、実は必ずしも慰謝料の請求が認められるわけではないことをご存じでしょうか。浮気をされたのに慰謝料もないとなると踏んだり蹴ったりです。
そこでここでは、配偶者の浮気を原因として、慰謝料を請求する場合の注意点を詳しく解説していきます。
1、法律上の浮気とは、どんな行為を指すの?
あなたは配偶者が異性と何をしたら浮気と思うでしょうか? 異性とメールをしているだけでも許せない方もいれば、キスはスキンシップの一部と考える方もいらっしゃるでしょう。
民法では、実は離婚原因となったり慰謝料を請求されたりする行為は、不貞行為と呼ばれており、何が不貞行為にあたるのかも定められています。そこでまずは不貞行為とは何か、確認していきましょう。
不貞行為とは、「婚姻関係にある者が配偶者以外の異性と自由な意思に基づいて肉体関係を持つ」ことです。
赤の他人である男女が結婚すると、扶養義務や貞操義務などお互いに順守すべき義務が生まれます。他の異性との不貞行為は、配偶者の権利を侵害する行為に該当するため、民法上の不法行為に当たるとして、慰謝料請求できる可能性があります。
さらに不貞行為は民法770条1項1号において、離婚事由として挙げられています。
第770条 第1項
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
- 配偶者に不貞な行為があったとき。
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2、離婚と慰謝料を考える時のポイント
配偶者の浮気を疑った場合、さまざまな選択肢が頭をめぐることでしょう。離婚するか、不倫相手に慰謝料を請求するか、配偶者との話し合いを根気よく続けるか、いろいろな解決方法が考えられます。本章では、離婚を考える時、そして慰謝料請求を検討する時のポイントについて、解説していきます。
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(1)離婚を考える時は、離婚後の生活をイメージすることが大切
配偶者の浮気が発覚した場合、「すぐにでも離婚したい」と離婚に向けて動く方もいらっしゃるでしょう。しかし、感情のままに行動すると、思わぬ落とし穴がある可能性があります。離婚によるメリットとデメリットを確認し、離婚後の生活をイメージした上で決断することが大切です。
●離婚のメリット
離婚のメリットとしては、配偶者と別れて生活できることが考えられます。浮気が許せなかったり、一緒にいると嫌な思いをしたりする相手と生活することは苦痛です。離婚することでそのような苦痛から解放されます。また、配偶者と別れることで、新たな出会いのチャンスが訪れる可能性もあります。
●離婚のデメリット
しかし、離婚にはメリットがある一方で、デメリットもあります。それは、今まで生活を共にしてきた家族を失うことです。また、生活の基盤が変わり、心身に対するストレスが生じることが考えられます。家計をパートナーに頼っていた場合は、経済的な負担も増えるでしょう。さらに子どもがいた場合は、親権者の決定や別離、引っ越しなど、いずれもつらい決断をしなくてはいけなくなります。 -
(2)慰謝料請求を考える時のポイント
配偶者の不貞行為があった場合には、不貞行為をした配偶者とその不倫相手に対して、慰謝料請求をすることが法的に認められています。慰謝料とは損害賠償の一種であり、精神的な苦痛に対して支払われるお金のことです。
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
慰謝料請求をする場合には、請求を配偶者にするのか不倫相手にするのか決定したり、証拠を押さえたり、さまざまなステップを踏む必要があります。さらに慰謝料請求ができない場合もありますので、注意が必要です。以下で見ていきましょう。
●慰謝料を請求する相手を決める必要がある
不貞行為の慰謝料を請求する相手は、配偶者・浮気相手のどちらか、もしくは両方になります。
離婚をしない場合に、配偶者に慰謝料を請求しても夫婦の財産は共有ですから、大きな意味のない行動になってしまいます。このため、離婚をしない場合は不倫相手だけに慰謝料を請求することになります。
なお、離婚する場合は、配偶者と不倫相手の双方に慰謝料を請求することが可能です。
●慰謝料請求ができない場合もある
不貞行為の事実が判明した配偶者に対して、慰謝料を請求したいと思う方は多いでしょう。しかし、必ずしも慰謝料を請求できないケースがあることに注意が必要です。
・肉体関係がない場合
前述の通り、法律上の浮気とは配偶者以外の異性との肉体関係が認められる場合に限られます。そのため、肉体関係の事実が認められない場合には慰謝料は請求できません。
・夫婦関係が破綻していた場合
また、夫婦間で離婚の合意がなされた後や、すでに婚姻関係が破綻していたと認められる場合も慰謝料請求は難しくなります。
・その他のケース
その他、慰謝料請求の時効が過ぎているケースでも請求はできません。慰謝料請求権には時効あり、配偶者が不倫をしている事実を知ってから慰謝料の請求ができるのは3年間と定められているからです。
●不貞行為の証拠と、集め方のポイント
メール、SNS等の履歴、写真や映像、音声、調査会社からの報告書などが、不貞行為の証拠として考えられます。
メールやSNSの履歴の場合は、肉体関係があったことが容易に分かる内容であれば、証拠として認められやすいでしょう。写真や映像の場合は、ラブホテルに入っている写真やホテル内で撮影したツーショット写真であれば、不貞行為の証拠となるでしょう。
不貞行為の証拠を自分で集めようとするときには、盗聴や配偶者のIDを不正使用して情報を得るといった行為は慎みましょう。これらの行為は刑法や不正アクセス禁止法に触れる可能性があります。
ご自身での証拠集めが難しい状況なら、弁護士や調査会社に依頼することを検討しましょう。
3、弁護士に相談するメリット
不貞行為の結果、離婚や慰謝料請求を請求したいと考えた場合は、弁護士に相談することも検討しましょう。
浮気問題は感情的になりやすいため、冷静な第三者を介することで納得感のある解決方法を見いだせる可能性が高まります。その他にも、弁護士に相談することで、多くのメリットがあります。以下で解説していきましょう。
●証拠集めのアドバイスを受けられる
弁護士ならば、話し合いや裁判に有利となる証拠がどのようなものであるか、判断が可能です。また、違法行為にならない証拠の集め方についてもアドバイスできるでしょう。
●手続きを任せられる
弁護士に相談すると、証拠の取捨選択や、慰謝料請求なども任せることができます。相手と直接話し合いをしなくてもよいということは、配偶者の不貞行為でダメージを受けている状況では、大きなメリットになるでしょう。
また、話し合いをするにしても、第三者がいることで冷静に話し合いをすることが期待できます。万が一、裁判に進んだ場合も、頼もしい代理人になってくれます。
●話し合いがスムーズになる可能性も
弁護士に任せることで、話し合いがスムーズに進むことが期待できます。早期解決のためにも、弁護士に早めに相談することをおすすめします。
その際は、何を聞くべきかをあらかじめメモでまとめておき、証拠などがある場合は、それらも持参するようにしましょう。
4、まとめ
配偶者の不倫が発覚した場合は、つい感情的になり相手を問い詰めてしまいがちです。しかし、やみくもに配偶者を問い詰めてしまうと、不貞行為の証拠が隠されてしまったり、夫婦関係が悪化してしまったりする危険性があります。また、今後の慰謝料請求や離婚に伴う財産分与などの交渉が不利になる可能性も否定できません。
そうならないよう、弁護士に相談して、冷静に今後のことを考えることをおすすめします。
また弁護士相談に行く際は、聞きたいことをまとめたメモや事前に不貞行為の証拠となるものを持参しましょう。
ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスでは、離婚問題の経験豊富な弁護士が、配偶者の浮気で困っている方へ適切なアドバイスを行います。ぜひお気軽に相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています