不倫・浮気慰謝料には時効がある! 間に合うように請求する方法

2024年11月20日
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不倫・浮気慰謝料には時効がある! 間に合うように請求する方法

水戸市では、離婚問題について弁護士にひとり20分間相談できる予約制の窓口を設けています。不倫・浮気されたと悩んでいる方の中には、慰謝料請求をすべきか悩み、利用を検討した方もいるでしょう。もちろん、大きな精神的苦痛を受けたのですから、不倫相手や不倫をした配偶者に対し、慰謝料請求をすることができます。

しかし、長期間慰謝料請求をしないで放置していると、慰謝料請求権が時効によって消滅してしまう可能性があります。不倫の慰謝料請求をするかどうかで迷っている間に時効にかかってしまったら、悔やんでも悔やみきれません。

本コラムでは、不倫の慰謝料の時効についての詳細から、間に合わせるためにできることについて、ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスの弁護士が解説します。


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1、時効とは|慰謝料を請求できる期限

まずは、時効とはどういった制度なのか、確認しておきましょう。

時効は、一定期間が経過することにより、権利が消滅したり確定的なものとなったりすることです。前者を「消滅時効」、後者を「取得時効」と言います。

不倫による慰謝料の場合は、消滅時効です。

不倫されたときには、被害者は大きな精神的苦痛を受けるため、配偶者と不倫相手に対し、精神的苦痛に対する損害賠償請求権を取得します。この損害賠償請求権が慰謝料と呼ばれるものです。

ところが、慰謝料の請求権も、長期にわたって行使されない場合には、時効にかかって消滅してしまいます

消滅時効の制度が認められるのは、「権利の上に眠るものを許さない」ということと、「長期間権利行使されない事実状態を評価して、債務者の期待を保護する」ことによります。
権利を持っているからと言って、なにもせずに長期間経過させることには債権者側に責任がありますし、債務者としても、「これだけ長期にわたって請求されないのだから、もう請求されることはないだろう」と期待するので、その期待を保護しようというものです。

数年前の浮気や不倫をいったんは我慢して見逃したもののやはり慰謝料請求をしたいと考えても、これまでなにもしていなければ時効により請求できる権利が失われてしまいます。不安な場合や、時効が近いと考えられるときは特に、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

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2、不倫の慰謝料、時効はいつ?

それでは、不倫の慰謝料は、どのくらい放置していると時効で消滅してしまうのでしょうか?

不倫の慰謝料は、民法上の不法行為にもとづく損害賠償請求権という権利です(民法709条)。不法行為にもとづく損害賠償請求権の時効は「損害および加害者を知ったときから3年」とされています(民法724条1号)。

つまり、不倫の事実とその不倫相手を知ったときから3年が経過すると、慰謝料の請求権が時効消滅してしまうということです。
また、「不法行為のときから20年」が経過したときにも、やはり慰謝料請求権は消滅します(民法724条2号)。
不倫の事実を全く知らなかった場合でも、不倫があったときから20年が経過すると、慰謝料請求ができなくなってしまいます

3、時効は慰謝料を請求する相手によって変わる?

不倫の慰謝料請求の時効期間は3年ですが、これをいつからカウントするかという起算点の問題は、もう少し掘り下げて検討する必要があります。

時効の起算点は、不倫相手に対する慰謝料か、配偶者に対する慰謝料かによって異なることがあるからです。

  1. (1)不倫相手に対する慰謝料の時効

    不倫相手に対する慰謝料の場合には、「不倫があったことと、不倫相手が誰か」を知ったときから、3年のカウントが開始されます。
    不倫相手が誰かわからない間は、時効が進行しないことになります。
    不倫の事実を知り、不倫相手が誰かを知ったときから3年間の間は慰謝料請求することができますが、その期間を過ぎると、慰謝料請求は認められません

  2. (2)配偶者に対する慰謝料の時効

    これに対し、配偶者に対する慰謝料については、配偶者が誰かわからない、ということはありませんから、基本的に「不倫があったことを知ってから3年間」とも思えます。しかし、配偶者に対する慰謝料請求権は、婚姻中であれば時効にならずにいつでも請求でき、たとえ離婚しても6か月たつまでは消滅しないのです(民法159条)。

    では、離婚した場合は不倫の慰謝料請求権は6か月で必ず消滅してしまうのでしょうか。
    ここで、もうひとつ考え方があり、配偶者と離婚する場合には、一般的に不倫については離婚原因として評価できるのです。

    つまり、不倫されたことに対する精神的苦痛については、離婚原因となった不倫による精神的苦痛と離婚自体から生じる精神的苦痛を一体として、離婚慰謝料として、配偶者に支払い請求をすることができます。

    離婚慰謝料は、離婚したときから時効期間をカウントするので、離婚後3年間は、慰謝料請求をすることができます

    ですので、不倫されてから3年やそれ以上の期間が経過していても、離婚後3年以内であれば、配偶者に対する離婚慰謝料請求は可能です。
    なお、この離婚慰謝料について、配偶者ではなく不倫相手に対して請求する場合は、かなり限定的な場合にしか認められないとの判例がありますので、そこはちょっと注意しておきましょう。

    以上のように、不倫相手と配偶者に対する、不倫慰謝料の時効期間は、考え方が異なってくることがありますので、正確に理解しておきましょう。

4、時効を止めて慰謝料請求を間に合わせる方法

具体的な期間の計算方法が異なるとしても、不倫の慰謝料には時効があり、一定期間が経過すると、慰謝料請求権は時効消滅してしまいます。
慰謝料の時効を止めることは、できないものなのでしょうか?
以下で、慰謝料の時効を止める方法を紹介します。

  1. (1)時効の更新とは|時効をリセットする方法

    時効には、更新という制度があります
    時効の更新とは、その事由があると、時効期間の進行がストップして、また当初に巻き戻ることです。

    時効が更新されると、それまで進行してきた時効期間の経過がなかったことになり、また始めからカウントのやり直しになります。

    つまり、不貞慰謝料の時効がある程度進行していても、時効を更新させれば、また新たに3年が経過しない限り、時効が完成しなくなります

    以下では、具体的な時効更新事由について、解説をしていきます。

  2. (2)時効の更新ができる理由①|債務承認

    時効更新事由の一つ目は、債務承認です

    債務承認とは、債務者が、債務があると認めることです認める方法に制限はありません。口頭で認める場合にも債務承認が成立します。
    ただ、口頭で相手に認めさせても、後になって「そんなことは言っていない」と言われてしまえば、債務承認があったことを証明することは難しくなります。

    そこで、債務承認をさせるときには、必ず文書を作成させましょう

    文書の内容としては「慰謝料を支払います」「不倫をしたので、慰謝料支払い義務があることを認めます」などと記載させれば十分です日付を書き入れさせて、署名押印をさせることも必要です示談書を作成したときにも、債務承認が成立します

    債務承認が成立すると、そのときからまた3年が経過するまで、慰謝料の時効は完成しません。

  3. (3)時効の更新ができる理由②|裁判上の請求

    時効更新事由の二つ目は、裁判上の請求をして判決などを得ることです。

    裁判を起こすと、その時点で時効の進行が一時中断します。裁判中に時効期間が経過しても、時効は完成しません。そして判決が出ると時効が更新され、その判決確定時から10年間、時効が完成することはなくなります

    もともとの不倫による慰謝料の時効期間は3年間ですが、裁判をして判決が出ると、時効期間は10年間に延長されます。それは、法律上、確定判決に認められる時効期間が10年間であると決められているためです(民法169条1項)。

    債務承認は、強制することができないので相手が協力しない限りは実現できませんが、裁判上の請求であれば、相手が協力しなくても、争いが起こっていても、こちらから行うことができるので、非常に効果的です

    ただし、裁判上の請求を行うときには、いくつか知っておくべきことがあります。

    ◆相手の居場所がわからない場合の対処方法
    相手が住民票上の住所に住んでいるときには、住民票を取得することによって相手の居場所を知ることができますが、相手が住民票を異動せずに逃げている場合、相手の居場所がわかりません。このような場合、どうやって裁判をすればよいのかが問題になります。

    そのような場合、たとえば相手が住民票上の住所に居住しておらず、行方不明の場合には、「公示送達」という方法によって裁判を起こすことができます

    公示送達をすると、裁判所の掲示板のような場所に、「裁判を起こしています」と掲示されます。

    このことで、相手に有効に送達が行われたとして扱い、判決をしてもらうことができます。公示送達の方法によって判決を得ても、時効更新の効果が得られるので、不倫慰謝料の時効を10年間延長することができます。

    ◆裁判を起こす余裕がない場合の催告
    裁判を起こすには、準備が必要です。3年の時効が間近な場合、急に裁判を起こせないこともあるでしょう。

    その場合には、「催告」をすることで、時効を少しだけ延長することができます
    催告とは、たとえば内容証明郵便によって、相手に慰謝料の請求をすることですこのことで、時効の完成を6か月間だけ遅らせることができます。その6か月の間に裁判を起こして判決を得れば、確定的に時効を更新させることができます。

    ただ、2度目の催告は認められないので、延長された6か月以内に、必ず裁判を起こす必要があります
    時効が目前に迫っているなら、郵便局に行って内容証明郵便で慰謝料請求書を送り、すぐに弁護士に相談するとよいでしょう。

    ◆取り下げをすると、時効が更新されない
    もうひとつ、注意しないといけないことがあります。

    それは、いったん裁判を起こしても、取り下げをしてしまったら時効が更新されないということです。

    取り下げをしても、裁判終了から6か月間は時効が完成しませんが、あくまで一時的に完成が猶予されているだけであり、時効は更新されません。

  4. (4)時効の更新ができる理由③|強制執行など

    時効更新事由の三つ目は、強制執行などです。

    強制執行や担保権の実行などが行われ、それが終了したときに時効更新となります。

    たとえば、公正証書で慰謝料の支払いに関する合意書を作っている場合に、相手の資産を差し押さえる強制執行をすることで、時効更新となります。

5、まとめ

以上のように、不倫や浮気による慰謝料の時効を止めるにはいろいろな方法があり、どれが自分にとって必要な方法なのかを見極めるのが難しい場合も多くあります

ベリーベスト法律事務所では、担当弁護士と実績豊富な離婚・男女問題専門チームがお客さまをサポートします。不倫から相当な時間が経過していても、証拠がそろっていなくても、時効が完成していなければ請求できる可能性があり、状況に適したアドバイスが可能です。

「請求しておけばよかった」と後悔することのないように、お早めにベリーベスト法律事務所 水戸オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています