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交通事故の被害で、専業主婦や自営業の休業損害はどう計算する?

2021年09月09日
  • その他
  • 交通事故
  • 休業損害
交通事故の被害で、専業主婦や自営業の休業損害はどう計算する?

茨城県警察本部によりますと、水戸市では令和3年7月末時点で370件の交通事故が発生しています。交通事故により受ける被害はさまざまです。なかには命を落とさずにすんだものの、事故で受けたケガなどが原因で仕事を休まざるを得ず、減収になってしまったという方もいるかと思います。

このような被害を、休業損害といいます。そして、被害者が受けた休業損害は加害者に賠償請求することが可能です。しかし、請求できる金額は当然ながら言い値ではありません。休業損害にかぎらず交通事故により受けた損害に対して支払われる賠償額の計算方法には基準があり、さらに被害者の職業によって請求できる金額の計算方法は異なります。交通事故で受けた休業損害の計算は、複雑なのです。

本コラムでは、このようにわかりにくい休業損害の計算方法について、ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスの弁護士が解説します。

1、交通事故の休業損害とは?

民法第709条では、「故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定しています。つまり、交通事故という不法行為により被害者へ損害を与えた加害者は、被害者に対して損害賠償を支払う義務があるということです。これに伴い、被害者は加害者に対して損害賠償の支払いを請求する権利があるといえます。

交通事故の被害者として受けた損害についての考え方は、以下の4通りがあります。

  1. ①積極損害……医師に支払った治療費、治療器具の購入費用、病院に通院するために公共交通機関へ支払った交通費、家族などによる付添看護費、加害者に損害賠償を請求するために要した費用など
  2. ②物的損害……交通事故が原因で自動車や携行品などが受けた損害
  3. ③消極損害……交通事故の被害者にならなければ得られたはずの逸失利益
  4. ④精神的損害……交通事故の被害者になったことで受けた精神的苦痛

このうち、積極損害、物的損害、消極損害は、総称して財産得的損害ともいいます。

そして、交通事故における休業損害とは上記の消極損害に区分され、財産得的損害のひとつとされます。具体的には、交通事故の被害者となり負傷したことにより仕事を休まざるを得なくなったため、その間の賃金の一部または全部が支払われず減収となってしまった場合、その減収分を休業損害とするのです。

2、休業損害を請求できるケース、できないケース

交通事故の被害者になったことを原因として休業損害を請求できるケースとは、基本的に給与所得者や自営業など「仕事をしている人」です。また、専業主婦(夫)のような家事労働従事者については、現実的な収入はないものの家事労働は金銭で評価が可能とされているため、休業損害を請求することができます。

したがって、次のような立場で生活をしていた方は、たとえ交通事故の被害者になったとしても、休業損害を請求することは基本的に難しいと考えられます。

  • 年金生活者
  • 生活保護受給者
  • アルバイトをしていない学生
  • 収入が賃料収入のみの不動産オーナーなどのように不労所得のみで生計を立てている方

ただし、休職中で事故にあっていなければ働き始めていたなどのケースでは請求できる可能性があります。弁護士に相談してみることをおすすめします。

3、休業損害を算定するための3つの基準

交通事故の休業損害を算出する方法は、以下の3つの基準があります。

  1. (1)自賠責基準

    自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)による基準です。そもそも自賠責保険は、万が一に備え、基本的な対人保障を確保することを目的に車を所有する方の強制加入が義務付けられている保険です。被害者に対する保障は必要最低限度のものといえるでしょう。

  2. (2)任意保険基準

    任意保険基準とは、示談により交通事故の加害者が任意で加入している保険から保障を受けることになったとき、任意保険会社が保障額を計算するうえで用いられる基準です。休業損害額を計算する基準については任意保険会社がそれぞれ定めているため、統一された基準は公開されていません。

  3. (3)裁判所基準(弁護士基準)

    交通事故の損害賠償額をめぐって、弁護士が交渉したり裁判になったりした場合に適用される算定基準が「裁判所基準」です。弁護士が加害者と交渉した結果認められた金額ですので、自賠責基準や任意保険基準よりも高く休業損害額が算定されます。

4、休業損害の計算方法と注意点

休業損害額の原則的な計算方法は、以下のとおりです。先述のとおり、任意保険基準は統一された数値がありません。そこで、本項では自賠責基準と弁護士(裁判)基準についてご説明します。

●自賠責基準……1日あたり5700円×休業日数
※休業損害に対する保障は、「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」(平成13年 金融庁 国土交通省 告示第1号)において1日につき原則として5700円と定めています。

●弁護士(裁判)基準……「事故前3か月分の給料の合計額」÷90日=日額(算定基礎日額)
算定基礎日額×休業日数

※算定基準日額が5700円よりも高く、給与明細などで証明できる場合

なお、実際に受けた傷害の程度や治療内容などから「休業の必要性」が認められるかどうかが判断されたうえで休業日数が決定します。したがって、必ずしも実際に休業した日数が休業損害額の算定に適用されるとはかぎらないことにご注意ください。

また、弁護士(裁判)基準における1日あたりの損害額(日額基礎収入)の計算方法および休業日数は、前述のとおり給与所得者や自営業者といった被害者の職業によって変わります。

  1. (1)給与所得者のケース

    給与所得者には、正規雇用者のほかパートタイマーやアルバイトのような非正規雇用者も含まれます。

    休業損害額を計算するための日額基礎収入は、原則、雇用主が発行する休業損害証明書などに基づいて算出します。なお、休業損害証明書には、交通事故が原因で仕事を休まざるを得なかったこを証明する証拠書類という性質があります。休業損害を請求するうえで欠かせない書類です。確実に雇用主に作成してもらうようにしてください。

    日額基礎収入に乗じる休業日数については、働くことができない期間が有給休暇扱いだった場合でも、金額を算定するための日数として考慮することができます。

  2. (2)自営業者のケース

    自営業者の日額基礎収入は、事故に遭う前年度の確定申告書または課税証明書などに記載された所得額を365日で割って求めます。

    もし確定申告をしていない自営業者であれば、金融機関の通帳や取引明細、帳簿などから所得額を算出します。また、一定の金額の収入があることを証明できれば、厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査の結果、いわゆる賃金センサスに記載された平均年収を365日で割って得られた額を収入額とすることが可能です。

    さらに、自営業者の場合は事務所の家賃、機材などのリース料、減価償却費、保険料などというような事業継続のために恒常的に発生する固定費についても日額基礎収入に算入することが認められています。

    休業日数について、自営業者の場合は給与所得者と異なり休業損害証明書を作成して実際に仕事を休んだ日数を証明してくれる人がいません。したがって、障害の状況や実際に病院へ通院した日数などから判断されることになります。

  3. (3)専業主婦(夫)のケース

    専業主婦(夫)の日額基礎収入は、賃金センサス第1巻第1表に記載された、女性労働者の全年齢平均の賃金を基礎として算出されます。休業日数については、自営業者の場合と同様に障害の状況や実際に病院へ通院した日数などから判断されることになるでしょう。

    なお、家事労働だけでなくパートタイマーやアルバイトをしている場合の日額基礎収入は、実際の収入額と専業主婦(夫)のみの場合の収入額を比較して、いずれか高い方となります。また、交通事故が原因で家事労働ができず家政婦を雇った場合は、それが必要かつ妥当と認められれば家政婦を雇ったことにより支払った費用も休業損害として認められた裁判例が存在します。

  4. (4)無職のケース

    無職の場合はそもそも休業する職がないため、原則として休業損害を請求することはができません。ただし、すでに就職することが内定している場合や、就職活動中であった場合などにおいては、内定先の給与額や賃金センサスなどを基準として休業損害が認められることがあります。

5、休業損害を弁護士に依頼すべき理由

先述のとおり、3つある休業損害の算定基準のうちもっとも金額が高くなるのは弁護士(裁判)基準です。しかし、加害者に休業損害を弁護士基準で請求するためには、法律や判例の知識、および交渉に関する経験が必要不可欠となるでしょう。

また、休業補損害にかぎらず損害賠償を請求する交渉は、加害者および被害者との間で過失割合などをめぐり難航する傾向があります。止まっている車に追突された、あるいは被害者側に何の落ち度もないことがドライビングレコーダーにより記録されているなどの場合を除き、過失割合の交渉はまさに互いの利害関係をめぐるものですから、被害者・加害者それぞれの損害保険会社の間で交渉する場合でも、難航し長期化するケースは多いのです。

だからこそ、加害者に休業損害を請求するときは、弁護士に依頼すべきといえるでしょう。弁護士であれば、わかりにくい休業損害の計算方法をはじめとした損害賠償請求全般に関する各種アドバイスが可能です。また、あなたが弁護士(裁判)基準で適正な休業損害の補償を受け取ることができるよう、被害者であるあなたの代理人として保険会社や加害者と交渉ができます。

弁護士に依頼すると費用が発生することから、自ら交渉しようと思うかもしれません。しかし、弁護士特約が付いている保険に加入しているのであれば、保険会社が弁護士費用を支払いますので費用面の心配は不要になるでしょう。

6、まとめ

加害者と示談が成立してしまうと、休業損害などの損害賠償額や慰謝料、保険金の額を変更することはできません。あとから悔やむことがないように、交通事故の加害者に対して休業損害を請求するときは早いうちから弁護士に相談してください。

ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスでは交通事故のトラブル全般のご相談を承っております。ぜひお気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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