退職後でも残業代請求は可能? 請求するときのポイントを解説
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サービス業界では、週末やお盆休み・年末年始などの長期休暇のときには繁忙になり、労働時間も長時間になりやすい傾向があります。また、人件費削減を目的に、残業が発生しても残業代を支払わず、従業員にサービス残業を強いている会社もあります。そのため、やりがいを失って辞めてしまう方も少なくありません。
そこで、退職した後でも残業代を請求することはできるのか、くわしく解説します。
1、退職後に残業代の請求は可能?
サービス業界のみならず、経営にあまり余裕のない会社では、コストを少しでも削減しようと残業代のカットに走ってしまう傾向があります。しかし、だからといって在職中には未払い残業代を請求することは少々ためらわれるでしょう。ここでは、退職後に残業代請求を行うことは可能か否かについて考えてみたいと思います。
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(1)退職後に残業代の請求はできる?
退職していても、業種や職種を問わず未払い残業代請求を行うことは可能です。各会社では、「所定労働時間」が就業規則であらかじめ定められており、その時間を超えて勤務した場合には残業代が支払われます。また、労働基準法では、労働時間の上限は1日8時間、1週40時間と定められており、これを超えて働いた場合には、基本時給に一定の割増率を上乗せした金額が支払われることになっています。
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(2)いつまで請求できる?
残業代請求を行うことは労働者に認められた当然の権利ではありますが、いつまでも請求できるわけではありません。
労働基準法115条によると、賃金などの請求権を2年間行使しない場合、時効によって消滅します。残業代はここでいう「賃金」にあたるため、残業代の請求権も2年で消滅してしまうのです。そのため、退職前・退職後を問わずできるだけすみやかに請求の手続きを行う方が良いでしょう。
2、退職後に残業代を請求するケースのほうが多い?
残業代を請求するのであれば、未払い残業代が発生したらすみやかにアクションを起こすことが大切です。そのほうが、証拠収集もしやすいからです。しかし実際は、退職後に未払い残業代を請求する方が少なくありません。
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(1)退職後に残業代を請求するケースが多い理由
退職してから残業代について請求する方が多い理由としては、残業代請求を行うことで、上司などとのの人間関係に亀裂が入ってしまう可能性があるためと考えられます。一方、退職してから残業代請求を行えば、人間関係のことを気にする必要はないので、退職後に残業代請求をしようと考える方が多いのです。
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(2)退職後に残業代を請求する際の注意点
退職後に会社へ残業代請求を行う際には、以下のようなことに注意することが必要です。
➀できる限り在職時に証拠を集めておく
退職後に残業代請求を行うつもりであれば、できる限り辞める前に残業したことを示す証拠を集めておきましょう。タイムカードや就業規則など、退職後には入手困難になる証拠資料もあります。原本を持ち出すことは難しくとも、コピーや写真など何らかの形で残すようにしましょう。
➁残業代請求は時効が到来する前に行う
残業代は、時効が成立すると原則として請求ができなくなってしまいます。しかし、訴訟の提起や仮差押などの裁判上の請求をすることによって、時効は中断させることができます。ただ、裁判上の請求を行うには証拠収集をしたうえで煩雑な手続きが必要となるため、時間がかかってしまうのが難点です。そこで、内容証明郵便を送って「催告」をしておけば、6ヶ月間は時効の進行を止めることが可能です。証拠取集が間に合わない場合はまず内容証明郵便だけでも送っておきましょう。
3、請求するなら退職後と退職前どちらがよい?
残業代の請求自体は、退職の前後を問わず行うことができます。ただどちらのタイミングがよりふさわしいかは、状況によっても異なるでしょう。いずれにしても、時効が到来するまでに何らかのアクションを起こすことが大切です。
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(1)退職前に請求することのメリットとデメリット
退職前に未払い残業代を請求するメリット・デメリットは、以下のようなものがあげられます。
<メリット>- 証拠資料を集めやすい
- 時効が成立する前に未払い残業代を請求できる可能性がある
<デメリット>- 職場にいづらくなる可能性が高い
- キャリアにふさわしくない部署への異動や地方への転勤など不利な待遇を受ける可能性がある
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(2)退職後に請求することのメリットとデメリット
退職後に未払い残業代を請求するメリット・デメリットは、以下のようなものがあげられます。
<メリット>- 社内での立場や人間関係を気にしなくて良い
- 在職中よりも高い利率(在職中:年率6%、退職後:年率14.6%)で遅延損害金を請求できる
<デメリット>- 証拠の収集が難しくなる
- 未払い残業代が2年分以上ある場合など、すみやかに請求しなければ時効が到来してしまい請求できなくなることがある
4、まとめ
未払い残業代の請求は、退職の前後を問わず行うことができます。しかし、のんびりしていると時効が成立してしまい、取り戻せるはずだった未払い残業代を取り戻すことができなくなる可能性もあります。そのため、特に退職後に残業代請求をしようとお考えの場合は、出来るだけ早く請求することが大切です。
しかし、退職後にはどのようにして未払い残業代を請求すればよいかわからないこともあるでしょう。そのようなときは、ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスまでご相談ください。弁護士がお客様のお話を伺って現状を把握し、迅速に解決できる方法をご提案いたします。証拠収集にお困りの時は、弁護士がアドバイスをいたしますのでその旨を法律相談のときにお申し出ください。
残業代請求など労働問題については、法律相談をお気軽にご利用いただけるよう、相談料を何度でも60分間無料にしております。お悩みのことがあれば、いつでも当事務所の水戸オフィスへお越しください。
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