離婚問題を弁護士に相談するとき、準備しておいたほうがよいことは?
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平成30年7月、茨城県守谷市で、44歳の女性が虚偽の離婚届を提出したとして逮捕されました。その後の調べで自宅から夫の遺体が発見されたと報道されています。
離婚の際は、双方の感情が大きくこじれていることが多いものです。そのため、冷静な話し合いが難しく、トラブルに発展しかねません。それでも慰謝料や財産分与など、少なくないお金のやりとりが生じます。まずは弁護士に相談した上で、自分にとって最適な方法で離婚を進めたほうがよいでしょう。
ただし、弁護士への相談は時間が限られています。そのため事前に準備しておいたほうがよいこともあるでしょう。そこで、ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスの弁護士が、離婚問題を弁護士に相談する際に準備しておくべきことについて解説します。
1、弁護士に離婚相談をする方法は?
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(1)離婚問題の相談先とは
離婚問題は、法テラスや役所で行われている相談会、そして弁護士事務所などで相談できます。
- 法テラスとは 法テラスとは、日本司法支援センターのことで、国によって設立された「法的トラブル解決のための総合案内所」です。金銭的な問題や地理的な事情によって法律関係の専門家が利用できない人を支援するために設けられています。全国の法テラス地方事務所にて相談窓口が設けられており、無料相談や、必要に応じて弁護士費用の立て替えなども行われています。
- 自治体の無料相談会 県や、市区町村などが開催している相談会は、基本的には無料です。しかしこのような無料相談会などでは、その場で離婚裁判の代理を依頼するなど、個別具体的な問題解決に向けてサポートが受けられることはほとんどないと考えてよいでしょう。そして相談会などはいつでも開催しているものではないため、必要なときに利用できるとも限りません。
- 弁護士事務所での相談 弁護士事務所での相談は、自治体の無料相談とは異なり、個別の事情をしっかり把握した上で、「依頼したらどうなるのか」のビジョンを明確にしてもらえます。
たとえ依頼しなくても、「今どうすべきなのか」や「今後の交渉方法」などについて、状況に適した具体的なアドバイスを行います。離婚問題で悩んでいる方は相談するだけでも多くの悩みが解決することも少なくありません。
ただし、公的機関が開催している相談会とは異なり費用がかかるケースがあります。相談費用を節約したい場合は、無料相談を実施している弁護士事務所を選ぶとよいでしょう。 -
(2)弁護士相談には時間制限あり
無料でも有料でも、弁護士の相談時間には制限があります。30分や1時間などあらかじめ決められているため、限られた時間の中で知りたいこと、悩んでいることを伝えなければなりません。
離婚の原因や腹立たしいことなどを話しているとあっという間に時間が終わってしまいます。せっかく弁護士相談へ足を運んでも、「話を聞いてもらっただけだった」ということにもなりかねません。限られた時間を有効に活用するためにも、事前に準備をして、聞きたいことを整理しておくことをおすすめします。
2、離婚原因を明確にしておく
まずは、事前にしておくべき準備について解説します。
弁護士に相談する前に、「離婚したい理由、離婚の原因は誰にあるのか、相手は離婚を認めているのか」を整理してメモなどにまとめておいてください。
離婚問題の「争点」がどこにあるのかをはじめに明確にする必要があるからです。たとえば「相手に慰謝料を請求したい場合」は、離婚したい理由と離婚の原因が重要です。
相手が離婚に応じていない場合、あなたが離婚したくないという場合は「離婚の理由」を把握しなければなりません。双方が離婚に合意している場合は、離婚の理由は問いません。しかし、片方が離婚に合意していない場合は、「法律的に離婚が認められる理由」でなければ、裁判をしても離婚が認められないことがあるでしょう。
離婚にあたって何が問題になっているのか、どうしたいのかを明らかにしておいたほうが相談はスムーズに進みます。そのためにも、離婚の原因を自分の中で、明確にしておきましょう。整理しておかなければ、弁護士がその場であなたの話を全て聞いた上で判断しなければならないので、非常に時間がかかってしまいます。
3、夫婦の財産状況を明らかにする
離婚の際は、「財産分与」を行う必要があります。財産分与とは、結婚期間中にふたりで協力して築いた財産を分けることです。働いているかどうかを問わず、原則として2分の1ずつに分配します。
財産分与問題は、離婚問題の中でもトラブルに発展しやすいものです。できれば離婚の話し合いをする前に双方の資産を正確に把握しておく必要があります。互いの収入状況や銀行口座、不動産、株、自動車などを書き出しておきましょう。
マイホームは、住宅ローンの名義や残債、親からの資金提供の有無なども記載しておいてください。不動産や自動車などは配偶者が名義になっている可能性もありますが、名義が夫婦の連名になっていなくても、結婚期間中に築いたものは夫婦の共有財産になります。
ただし、結婚前の貯金や親から贈与を受けた財産は対象となりません。相手が、あなたに離婚の意思があることを把握している場合は、財産を隠す可能性が考えられます。怪しいお金の動きがないかどうかもチェックしておきましょう。
また、夫婦間に子どもがいる場合は、子どもの養育費についても決めておいたほうがよいでしょう。子どもの年齢と、双方の年収もメモしておいてください。養育費を決定するためには、双方の年収が必要になります。
とにかく離婚さえできればいいと急ぐ方も少なくありませんが、離婚後の生活も見据えた準備をしっかり行うことを強くおすすめします。
4、相談内容を明確にしておく
相談する前に、あなたが何を相談したいのか、何で困っているのかを把握しておいてください。
慰謝料について聞きたいのか、それとも離婚後の養育費や親権について聞きたいのか、具体的に知りたい内容が何なのか自分の中ではっきりとさせておくことをおすすめします。相談すべきテーマが決まっていれば話がスムーズに進み、限られた時間を有効活用できるはずです。
どうしたらいいのかわからない、という段階でももちろん弁護士相談自体は可能です。しかし、場合によっては相手への愚痴や積年の恨みなどを発散するだけで相談時間が終わってしまう可能性があります。そうなれば、あなた自身の時間が無駄になってしまいますので、相談内容をはっきりさせてから相談を申し込むことをおすすめします。
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(1)慰謝料を請求したい場合
慰謝料は離婚したからといって、必ず請求できるとも限りません。原則、相手方に落ち度がなければ慰謝料の請求は認められないのです。
なお、慰謝料の相場は離婚理由にも関係します。不倫やDVを受けていた場合にはその期間の長さなど、具体的な状況に合わせて決定されるため、数十万円から数百万円と幅が広くなっています。
ただ、離婚後の生活費が欲しいという理由だけで慰謝料を請求するのは難しいでしょう。もちろん、配偶者が慰謝料請求について合意すれば支払いを受けることは可能ですが、原則、慰謝料を請求したい場合は、離婚の理由や相手の落ち度をはっきりさせておいてください。
もし、相手の不倫やDVなどが原因で離婚を決意したケースで、慰謝料を請求する場合は、証拠がなければ慰謝料は認められません。また、証拠がない場合はこれから集める必要があるといえます。
証拠がある場合も、有効な証拠かどうかを判断しておいたほうがよいため、相談の際に持参することをおすすめします。 -
(2)養育費を請求したい場合
養育費は子どもを育てるために必要なお金です。したがって、相手に不倫などの落ち度がなくても子どもの親であれば支払う義務があります。あなた自身が不倫をしていた場合も、あなたが親権を得たのであれば受け取ることができます。
養育費は、双方の収入や子どもの人数、年齢などによって決定されます。相談する際に年収がわかるものや子どもの生年月日もメモしておきましょう。 -
(3)親権が欲しい場合
日本では、夫婦が親権を争ったとき、幼いころから日常的に育児に携わっていた母親が有利になる傾向があります。したがって、育児を行っていた母親側が親権を主張する場合は、スムーズに親権を得ることができるでしょう。
しかし、父親が親権を取りたいと考えるときは、まずは日常的に育児を行っていたことを証明する必要があるかもしれません。そのほかにも、さまざまな方法で「父親のほうが子どもを育てるために最適な環境を用意できること」を主張する必要に迫られる可能性があります。父親が親権を得たほうが子どもの利益があることを示す根拠となる証拠や状況について整理しておくとよいでしょう。 -
(4)財産分与で争っている場合
財産分与で争っている場合は、「夫婦の共有財産かどうか」と「分配割合」が問題になるケースが少なくありません。
有利に交渉を進めるためには、まずは共有財産をピックアップすることが重要です。それらの財産の取得時期や経緯などもわかるとよいでしょう。
5、まとめ
離婚をする際、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。離婚の成立を争う場合や財産分与でもめている場合、養育費や親権など子どもに関することで意見が合わないなど夫婦の数だけトラブルがあるといっても過言ではありません。
弁護士に相談する場合にはあらかじめ自分の状況について整理しておき、離婚原因や財産についてその場でいろいろと話せるように準備しておくとよいでしょう。ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスでも離婚問題に対応した実績が豊富な弁護士が、あなたの状況に合わせた最適なアドバイスをいたします。一人で抱え込まず、まずは相談してください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています