残業代請求に時効はある? 時効と時効の中断について弁護士が解説

2018年10月19日
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残業代請求に時効はある? 時効と時効の中断について弁護士が解説

サービス業界会社では、慢性的に人手不足のためギリギリの人員で業務を回さざるを得ず、長時間労働になりやすい傾向があります。しかし、中にはコストカットを目的に残業代を支払おうとしない会社も少なくありません。

働いた時間分、残業代請求を行うことは労働者にとって当然の権利ではありますが、残業代請求には時効があることに注意が必要です。本記事では、その残業代請求にかかる時効について解説します。

1、残業代の請求に時効はある?

残業代が未払いとなっている場合、労働者は未払いになっている残業代を請求することができます。ただそのタイミングはいつでも良いというわけではありません。残業代の請求権には時効が存在するため、手遅れにならないよう早めの手続きが必要です。

  1. (1)請求できる残業代は過去2年分のみ

    残業代の請求権は、本来支払われるはずだった給料日から2年で消滅します(労働基準法115条)。これを「消滅時効」と言います。時効が到来すれば、過去にどんなにサービス残業をしていても、未払い残業代は請求できなくなってしまうのです。

  2. (2)時効になった分の残業代は請求できない?

    前述の通り、未払い残業代は原則として2年で請求ができなくなりますが、例外的に2年以上経っても未払い残業代が請求できることがあります。

    <不法行為があった場合>
    例えば、会社側が故意に従業員の勤務時間の把握を怠って残業代が計算できず、残業代がずっと支払われていなかったケースでは、残業代の不払いが民法709条の不法行為にあたり、存在賠償請求ができるとされたことがあります(杉本商事事件(広島高判平19.9.4))。不法行為に基づく損害賠償請求権の時効は3年なので、この場合は、未払い残業代が過去3年分請求できることになります。

    <時効の進行を停止・中断した場合>
    時効が進行している間に会社側に未払い残業代の支払いを請求した場合、時効の進行を止めることができます。また、訴訟や労働審判の申し立てを行った場合には、時効を中断させることが可能です。

2、時効を停止・中断するには

時効の成立を遅らせる方法として、時効の進行を止める方法と時効を中断させる方法の2つがあります。時効の進行を止めると一定期間後に止まった時点からまた時効の進行が再開しますが、時効を中断させると、それまで進行していた時効の期間がリセットされることになります。

  1. (1)会社に内容証明を送って交渉する

    時効の進行を止めるには、「催告」を行います。催告をする方法のひとつが、内容証明郵便の送付です。内容証明郵便とは、差出人が送付した文書の内容を郵便局が証明してくれるものであり、6か月間時効を中断させる効果があります。

    弁護士の名前で内容証明を送れば、こちら側が本気で未払いの残業代請求を行おうとしていることが伝わるため、より効果的だと考えられています。

  2. (2)民事訴訟を起こす

    内容証明郵便を送っても、会社が交渉に応じない場合があります。その場合、争いの場を法廷に持ち込むことも視野に入れるほうがよいでしょう。
    訴訟の申し立てを行うことで、時効を中断させることができます。訴訟の場合は、時効を中断させることのできる期限はありません。

  3. (3)労働審判

    訴訟だけでなく、労働審判も時効を中断させる事由となります。労働審判とは、原則として3回の審理で問題の迅速な解決を図るためのものです。労働審判を申し立てることによって、時効を2年間中断させることができます。

3、弁護士に相談した場合の流れと対応

会社が強固に未払い残業代の請求に応じないとなれば、個人で会社と争うことに限界を感じることもあるでしょう。そのときには、交渉のプロである弁護士に相談されることをおすすめします。

  1. (1)法律相談

    まずは、事前にお電話もしくはメールでご予約を入れた上で、ベリーベスト法律事務所へご来所ください。弁護士が、これまでの経緯や現在の状況についてお話を伺い、お客様の状況に合わせて最適な解決方法をご提案いたします。このとき、タイムカードのコピーなどの証拠資料や関係書類などをお持ちいただくと話がスムーズです。もし、証拠資料の収集方法がわからない場合は、弁護士にご相談いただければ、アドバイスをいたします。

  2. (2)委任契約

    弁護士の提示した解決方法にご納得いただけましたら、弁護士と委任契約を締結します。その後、実際に問題解決に着手いたします。書類作成や手続き、会社との交渉などはすべて弁護士にお任せください。

  3. (3)残業代の計算、会社との任意交渉・訴訟・労働審判

    収集できた証拠資料をもとに、弁護士が会社に請求すべき残業代の計算を行います。その後、証拠資料と残業代の計算結果をもとに、会社側に内容証明郵便を送った上で交渉を行います。交渉がまとまれば合意書を作成し、場合によっては後日トラブルにならないよう公正証書にする手続きを行います。

    交渉が調わない場合は、裁判所に労働審判を申し立てて、裁判所で引き続き話し合いを行います。それでも解決が難しければ、最終的に訴訟で争うことになりますが、弁護士は最後までお客様の代理人として解決に尽力いたしますのでご安心ください。

4、まとめ

長期にわたりサービス残業を強いられ、残業代が未払いになっている場合は、時効が到来する前に早めに会社に請求しなければなりません。

未払いの残業代請求を検討されている場合は、ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスにご相談ください。当事務所ではお客様から現在の状況についてお話を伺い、最適な問題解決方法をご提案いたします。残業代が発生していた証拠資料の収集がまだであれば、収集方法についてもアドバイスを行います。内容証明郵便などの書類作成や裁判所での手続きについても、すべて当事務所の弁護士にお任せいただくことが可能です。

未払い残業代は、人によっては100万円以上になることもあります。一人で悩まずに、まずはお気軽にベリーベスト法律事務所 水戸オフィスまでご来所の上、ご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています