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在宅勤務を理由に減給! 受け入れるべきでない理由を弁護士が解説

2021年05月20日
  • 労働条件・ハラスメント
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在宅勤務を理由に減給! 受け入れるべきでない理由を弁護士が解説

新型コロナウイルスの感染について、茨城県では累計感染者数が9184名を数えました(令和3年5月19日現在)。

新型コロナウイルスの感染を防止するために日本の社会に導入されたものとして、マスク着用の徹底やリモートワーク(テレワーク)による在宅勤務などがあります。

普及し始めということもあり、在宅勤務になったことを理由に会社から「管理できないから減給する」と一方的に言われたといったトラブルも発生しています。

確かに在宅勤務は業務のために出社する必要がない、残業しているかを把握しにくいなどの特徴がありますが、単に在宅勤務になったというだけで、給与の減額を受け入れなければならないのでしょうか。

そこで今回は、在宅勤務を理由とする減額が認められるかについて弁護士が解説していきます。

1、在宅勤務を理由にした減給は認められない

  1. (1)そもそも在宅勤務を理由に減給はできない

    労働者が会社に勤務することは、当事者の双方に義務がある双務契約です。労働者は労務を提供する義務があり、使用者である会社は契約で決められた賃金を支払う義務をお互いに負っています。

    一度決められた賃金については、当事者の一方の意思だけで勝手に変更することはできません。これは在宅勤務においても同様であり、単に在宅勤務に切り替わったことを理由として、会社が一方的に労働者の給与を減給することは認められません。

    確かに、在宅勤務は出社する場合に比べて労働者が自由に行動しやすく、勤務時間を正確に把握するのが困難な場合があります。しかし、それはあくまで企業からみた問題であって、それを理由に一方的に減給することはできません。

    在宅勤務で一方的に減給された場合、まずは雇用契約書や就業規則に記載されている労働条件を確認しましょう。正規雇用で労働契約を結ぶ場合、使用者は労働に対して賃金・労働時間・就業場所など明示しなければならないからです。

    賃金については、雇用契約書等に基本賃金や諸手当などが記載されています。在宅勤務になったかどうかにかかわらず、契約書に記載されている内容に基づいて賃金が支払われなければなりません。

    なお、雇用契約書の交付は法律上義務とはなっていませんが、労働条件通知書は交付しなければなりません。雇用契約書がない場合には、労働条件通知書が手元にあるかどうか確認してみましょう。

  2. (2)事業場外みなし労働時間制と在宅勤務

    事業場外みなし労働時間制とは、会社以外で勤務する場合に何時間働いたとしても、所定の時間だけ労働したものとみなす制度です。

    たとえば所定労働時間が8時間の場合、月曜日に7時間労働して火曜日に9時間労働したとしても、いずれの日も8時間労働したものとみなされます。

    事業場外みなし労働時間制を適用するには、使用者の具体的な指揮監督がおよばず、労働時間を算定することが難しいという事情が必要であり、在宅勤務の場合も同様です。

    在宅勤務であっても、インターネットに常時接続しており使用者の指揮監督が十分に及ぶ場合などは、事業場外みなし労働時間制を適用することはできません。

  3. (3)裁量労働制と在宅勤務

    裁量労働制とは、専門性の高い業務や企画業務など、一定の性質の業務に従事する労働者に対して適用することができる制度です。裁量労働制が適用されると、実際の労働時間にかかわらず所定の時間だけ労働したものとみなされます。
    裁量労働制を適用するには、会社が労使協定で定めた事項を労働基準監督署に届け出るなどの一定の手続きが必要であり、在宅勤務の場合も同様です。

  4. (4)在宅勤務であっても残業代や休日手当の対象になる

    在宅勤務は会社に出社する場合と比べると、残業をきちんとしているかを把握するのは一般に困難でしょう。もっとも、業務命令として残業が命じられた場合の残業代であれば、在宅勤務においてもきちんと支払われる必要があります。
    また、本来は休日にあたる日に業務命令として勤務が命じられた場合の休日手当や、深夜に労働した場合の割増賃金なども、同様です。

2、減給が認められる可能性があるケース

  1. (1)懲戒による減給は、認められる可能性がある

    単に在宅勤務に切り替わったことだけを理由に減給することは認められませんが、懲戒として減給処分を下す場合であって、処分をする合理的な理由があるケースであれば、減給が認められる可能性があります。

    懲戒とは、明確な秩序違反や懲戒規定違反などを行った労働者に対して、使用者が制裁として行うことができる処分のことです。処分の種類として減給・出勤停止・懲戒解雇などが挙げられます。

    懲戒処分として減給を行うには、減給処分が相当といえるだけの理由が必要です。たとえば在宅勤務に関連した減給処分の対象になる可能性がある行為は以下のようなものになるでしょう。

    • 監視されていないことを利用して仕事を怠けたことで、取引先から契約を打ち切られるなどの被害を生じさせた
    • 会社の命令がないにもかかわらず、勝手に在宅勤務を始めて、出社を拒否するようになった
  2. (2)懲戒でも減額には限度がある

    懲戒処分として減給処分を下すことが相当なケースであっても、減額できる給与の金額には限度があります。減額される金額が不当に高額な場合は労働基準法に違反します。
    労働基準法第91条は、懲戒処分として減額できる金額の限度について、以下のとおり定めています。

    第91条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。


    ●懲戒処分に該当する事案一回につき、減額できるのは平均賃金の一日分の半額以下まで
    たとえば、月給30万円の従業員が在宅勤務中に仕事を怠けて、取引先との契約を失うなど会社に損害を与えたことを理由に減給処分をする場合、一回の行為につき減額できるのは5000円程度です。

    ●減額処分の総額は、1賃金支払期における賃金総額の10分の1以下まで
    減給処分の対象になる行為を複数回行った場合について、減給できる限度額を定めたものです。たとえば月給30万円の場合、1賃金支払期における賃金総額は30万円なので、一か月に減給できる限度は3万円までです。

    上記の例からも明らかなように、懲戒処分を理由とする減給であっても、労働基準法が認めている減給の金額は決して高くありません。

3、弁護士に相談したほうがよいタイミングはいつ?

在宅勤務によって減給処分を下された場合に、弁護士に相談すべきタイミングと、弁護士ができることを解説します。

  1. (1)まずは会社と交渉する

    在宅勤務に移行した後に減給された場合、まずは人事担当者に相談して事実を確認しましょう。上司に相談することも可能ではありますが、直属の上司は減給などの処分に直接関係している場合が少なくないため、うやむやにされてしまう可能性があります。

    業績が著しく悪化したなどの事由がないにもかかわらず、単に在宅勤務に切り替わったことが理由で一方的に減給処分を下された場合は、処分が不当であることを人事担当者や管理者にきちんと伝えましょう。

    減給処分に合理的な理由がある場合は、人事担当者に照会すれば減給の理由の説明を受けられるのが一般的です。自分では減給される理由がないと思っていても、会社の側からすると減給に十分な理由があると捉えている場合があります。

    また、在宅勤務は出社する場合と比較して、勤務状況の把握が困難な場合が少なくないため、誤解によって減給処分を受けている可能性もあります。たとえば、実際は仕事を怠けていないにもかかわらず、怠けていたと会社が誤解しているなどです。

    会社が説明する理由が不当な場合は、その旨を人事担当者にきちんと伝えましょう。双方の誤解が解消すれば、減給処分を撤回してもらえる可能性があります。

  2. (2)会社が応じなければ弁護士に相談を

    会社側と交渉しても進展がなく減給を言い渡された場合には、労働問題に知見のある弁護士に相談すべきタイミングです。弁護士に相談すると、会社の減給処分が法的に妥当なものであるか、それとも問題があるかを客観的に判断してくれます。

    また、弁護士は会社の減給処分が法的に問題のある場合、本人の代わりに会社側と交渉します。会社の減給処分の法的な問題点を的確に提示し交渉するため、自力で交渉するよりも会社が減給処分の撤回に応じやすくなることが期待できます。

    会社が弁護士との交渉にも応じなければ、最終的には労働審判や訴訟によって、減給処分を争うことになります。

    労働審判とは、事業主と労働者の間の労働問題を迅速かつ適切に解決するための裁判所の手続きです。
    審判の流れとしては、

    • 裁判所に設置された労働審判委員会が双方の意見を聞き、調停案を示します。
    • 双方がその案に納得すれば調停成立となりますが、不成立となった場合には、労働審判委員会が審判を下します。
    • それでも当事者が納得せず、労働審判に異議を申し立てた場合には、審判は効力を失い通常の訴訟で減給処分を争うことになります。


    労働審判にせよ通常の訴訟にせよ、減給処分を覆すには、弁護士による適切な主張・立証が重要です。

4、まとめ

新型コロナウイルスの感染防止のために、勤務形態を在宅勤務に切り替える企業が増えていますが、在宅勤務をきっかけとして一方的に給与を減額されるトラブルもでてきています。

労働者に支払われる給与は雇用契約の内容として規定されており、単に在宅勤務に切り替わったことを理由として、使用者が一方的に給与を減額することはできません。
在宅勤務で著しくパフォーマンスが低下し、企業に損害を与えたことなどを理由に、懲戒処分として給与を減額できる場合はありますが、減額できる金額の限度は法律に規定されています。

在宅勤務がきっかけで給与を減額されてお悩みの方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスにご相談ください。労働問題に知見のある弁護士が、納得できる解決方法が見いだせるよう全力でサポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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