相手の特定は可能? 悪口書き込みサイトに対する削除請求方法とは
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総務省の情報通信白書令和元年版によると、平成30年の日本におけるインターネット利用率(個人)は79.8%、スマートフォン保有率(個人)は64.7%、SNS利用状況(個人)も60.0%にのぼりました。
いつでもどこでもスマホから、Twitter、facebook、Instagram、Tiktok、LINEなどのSNSや書き込みサイトによって今のはやりやニュースを得て、他者との交流を行う――。このようなライフスタイルが広がっていることは、皆さんも実感しているのではないでしょうか。
一方、匿名の書き込みサイトなど、インターネット上で個人の権利が侵されるケースも増えています。これらは全国どこでも起こりうるため、水戸市近隣にお住まいの方も例外ではないでしょう。この記事では、自分の写真や誹謗中傷の書き込みがサイト上でなされた場合、削除請求を行うための対処法を水戸オフィスの弁護士が解説します。
1、個人情報が勝手に書き込まれたらどうしたらいい?
インターネット上に自分の個人情報や写真、住まいや職場を書き込まれてしまったら、見ず知らずの他人に知られ、思いもよらぬ被害に遭う可能性があります。
- 住所を特定され、いたずら電話、空き巣、ストーカー被害に遭う
- 根拠のない悪口や事実無根の内容を書かれ名誉を傷つけられる
- 出会い系サイトに個人情報を転載され、電話やメールが止まらない
- 勝手に通信販売などを申し込まれる
- 職場を特定され、職場にもいたずら電話やいやがらせを受ける
- 家族や子どもがつけまわされる
万が一、自分の個人情報が書き込まれていることが判明したら、一刻も早く対策を取る必要があります。
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(1)サイト運営者に通報する
まずは、自分の個人情報が投稿されているサイトや掲示板の管理者に対して、削除要請を行いましょう。また書き込み内容などを画面キャプチャなどで残しておくことをおすすめします。
削除要請の方法はサイトによって異なりますが、メールや削除要請フォームで依頼できるサイトも多いようです。ただし、削除はサイト管理者の判断に委ねることになります。依頼しても削除されなかったり、対応までに時間がかかったりすることがあったりする点に注意が必要です。 -
(2)警察に相談する
名誉毀損(きそん)等やストーカーなどの犯罪として被害を届け出る場合には、最寄りの警察署または茨城県警の「サイバー犯罪対策課」に相談してみましょう。
ただし、すぐに対応してもらえるか否かは個別の事情により差があることが多いようです。 -
(3)法務省の人権相談受付窓口に相談する
まったく心当たりのない書き込みがひとり歩きしてしまうケースは少なくありません。見知らぬ人から誹謗中傷を受けるなど、生活を脅かし安心して暮らすことのできない事態となれば、これは重大な人権侵害にあたります。
このような事態に陥ったときは、法務省のホームページから、インターネット人権相談受付窓口で相談することもできます。 -
(4)弁護士に依頼する
サイト運営者が任意の削除要請に応じない場合は、法的手段を取る必要がでてきます。
インターネット上に一度拡散した情報は、時間がたてばたつほど全てを削除することが難しくなります。そのため、被害を最小限に抑えるにはなるべく早く、ネットの削除請求手続きの経験がある弁護士に相談することを強くおすすめします。
弁護士はあなたの代理人として、法的根拠をもとに削除要請を行ったり、発信者情報開示請求によって書き込みをした人物を特定したりするなどの手続きを行うことができます。費用はかかりますが、公的機関などへの相談に比べ、迅速な対応が望めるのが大きなメリットです。
2、書き込みされたサイトへの削除請求
では具体的に、どのように削除請求を行うか見ていきましょう。
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(1)削除依頼フォームから削除請求
先述の通り、掲示板やサイトに設置されている「削除依頼フォーム」があれば、そこから削除請求をします。被害者本人が削除請求しても管理者から音沙汰がない場合、弁護士名で請求をすることで対応が進むケースは少なくありません。
ただし、不特定多数が匿名で利用する書き込みサイトや、個人運営のブログなどで誹謗中傷されている場合、被害者本人が削除請求することによって逆効果になってしまうケースも考えられます。炎上を引き起こさないよう、弁護士に相談しておくこともひとつの手です。 -
(2)一般社団法人テレコムサービス協会の記事削除ガイドライン
削除を依頼する場合、前述したように書き込みサイト運営者に直接削除請求するほかに、書き込みした相手が使用しているサーバの運用者やプロバイダに対して削除請求をすることが可能です。
この場合は、一般社団法人テレコムサービス協会の作成する記事削除ガイドラインに準じた「送信防止措置」という手段を取ることになります。このガイドラインは、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(以下「プロバイダ責任制限法」)にのっとったものです。
特定電気通信による情報の流通により名誉を毀損され、またはプライバシーを侵害された者またはその代理人からの送信防止措置に対し、プロバイダ等による迅速かつ適切な対応を促進し、インターネットの健全な利用を促進することを目的としたものです。
このガイドライン通りに申立書を作成し、提出することで被害者本人による削除依頼も可能です。ただし、申立書の作成には法的な知識が求められます。場合によっては弁護士に依頼することをおすすめします。 -
(3)裁判による仮処分
削除請求する手段としては、裁判手続による「仮処分」を申し立てる手もあります。
仮処分とは、判決が下されるまでの間、債権者(この場合は個人情報の書き込みをされた者)に著しい不利益が発生する危険がある際に、権利保全に必要な暫定的措置を認める処分のことです。仮処分命令が下されたら、サイト管理者やプロバイダ等に、書き込みや写真の削除を求めることができます。
判決で申し立てが認められたら強制執行も可能です。ただし仮処分の効力は、訴訟で敗訴すると失われます。それでも、仮処分が認められた段階で、相手が和解や調停に応じることも多く、迅速な解決につながるケースも少なくありません。
仮処分の手続きも、弁護士に依頼することでスムーズな解決を望むことができるでしょう。
3、書き込みをした人物の特定はできる? 損害賠償は?
写真や事実無根の書き込みが拡散された結果、悪質な誹謗中傷などの被害に遭った場合には、元の書き込みや、誹謗中傷をした人を特定し、慰謝料を求めることも可能です。
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(1)発信者情報開示請求
プロバイダ責任制限法第4条において、インターネット上で悪質な書き込みをした発信者の情報開示をプロバイダに求める制度が定められています。これを「発信者情報開示請求」といいます。刑事告訴や損害賠償請求を行うのであれば、あなた自身が悪質な書き込みをした発信者個人の身元を特定する必要があります。したがって、発信者情報開示請求が必要不可欠となるでしょう。
「発信者情報開示請求」には、「任意開示」という方法もあります。任意開示は、弁護士法23条の2に基づく照会や証拠保全等による方法もありますが、これらには法的な強制力はなく、プロバイダ側が開示に応じる例は少ないのが現実です。
裁判所からの開示命令であれば、プロバイダ側も開示に応じるケースがほとんどです。したがって、裁判上の請求手続きを踏むのが確実といえるでしょう。 -
(2)損害賠償請求
書き込みにより何らかの損害を受けた場合、発信者情報開示請求で加害者の身元が判明したら、民事的な損害賠償請求ができる可能性もあります。なお、精神的苦痛による慰謝料の相場は、書き込みの態様や被害の程度によって差があるものです。さらに、相手の資力によってはたとえ損害賠償が認められても実際に支払ってもらえないこともあります。弁護士のアドバイスを得て検討すべきでしょう。
いずれにせよ、慰謝料請求や誹謗中傷の書き込みをした人物の特定は、個人で対応するには限界があります。訴訟や申し立てには、発信者の書き込みログの収集、証拠集めなども必要となります。書き込み削除請求の手続きに精通した弁護士によるサポートを受け、速やかな事態収束を図ることをおすすめします。
4、まとめ
自らは個人特定されないだろうと高をくくり、他人の人権を踏みにじる行為は断じて許されるものではありません。ネット上の情報拡散スピードは恐ろしいものです。個人情報などが書き込まれてしまった場合は、まずはサイト管理者に速やかに削除請求をしましょう。
それでも削除してもらえない場合や、さまざまな不利益、被害が発生したならば、法的手段を用いた削除要請や発信者特定を行い、損害賠償請求を検討することもできます。万が一、そのような事態に直面した場合は、すぐにベリーベスト法律事務所・水戸オフィスに相談してください。あなたの生活が脅かされることのないよう、迅速に対応します。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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