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市役所職員に暴言で逮捕? 公務執行妨害罪のすべてを弁護士が解説

2019年03月25日
  • 暴力事件
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市役所職員に暴言で逮捕? 公務執行妨害罪のすべてを弁護士が解説

公務執行妨害というと、役所職員よりも警察官に対する行為を思い浮かべる方が多いかもしれません。実際に、平成 29年に職務質問をしている最中に車を急発進させて警察官を引きずりながら逃走しようした男を公務執行妨害の容疑で現行犯逮捕したという事件や、平成28年1月に同じく職務質問をしようとした警察官の腕にかみついた男が公務執行妨害罪で逮捕されるという事件等が報道されています。

しかし、市役所や県庁などの役所において、職員に対する公務執行妨害で逮捕されるケースもあるのです。今回は、役所の職員に対する公務執行妨害罪について、水戸オフィスの弁護士が説明します。

1、公務執行妨害罪とは

公務執行妨害罪とは、刑法第95条第1項に規定された犯罪です。公務員がその職務を行うのに対して、暴行または脅迫をする行為が罪に問われることになります。

ここで規定される「公務員」についても、刑法第7条第1項で定められています。具体的には以下の公務を担う方々が公務員とみなされます。

  • 警察官
  • 消防隊員
  • 自衛隊員
  • 市役所や県庁、税務署などの窓口業務を行う職員
  • 公証役場の公証人
  • 自治体や国に委託されて業務を行う警備員など


なお、公務執行妨害罪の設定により守ろうとする対象は、公務員個人ではなく、「公務」そのものです。公務執行妨害罪で被害を受けたとされる対象は「国」や「自治体」になります。したがって、公務員個人は公務執行妨害罪の被害者にはなりません。

つまり、休暇中などのように、職務外とされるときに公務員個人に対して暴行または脅迫を行ったとしても、公務執行妨害罪は成立しないということです。ただし、個人に対する暴行罪や脅迫罪は、状況によって成立することになるでしょう。

2、公務執行妨害罪の量刑

  1. (1)公務執行妨害罪の法定刑

    公務執行妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金と定められています。

    ここで設定されている刑罰は、暴行罪や脅迫罪の法定刑よりも重いものとなっています。公務執行妨害は、単なる暴行や脅迫ではなく、公務員が職務を行う際にこれを妨害、もしくは妨害しようとすることによって成立します。

    「公務員の職務」という公益が犯されている点が重視され、暴行罪や脅迫罪よりも厳しく処罰されることとなっているのです。

  2. (2)公務執行妨害罪の量刑相場

    公務執行妨害罪の実際の量刑相場は、その暴行・脅迫の程度や同種の前科があるかどうか、真摯に反省しているかなどの事情によって変わります。

    通常の暴行罪や脅迫罪などの場合、被害者の懲罰感情が重視されるため、被害者との間で示談が成立しているかどうかという事情が量刑に大きな影響を与えます。しかし、前述のとおり、公務執行妨害罪は「公務員の職務を妨害した」ことに対して罪が問われることになります。よって、被害者が国または地方公共団体とされています。そのため、被害者との間で示談ができず、他の犯罪のように、示談によって量刑を軽くしてもらうことができないという点に注意が必要です。

    公務執行妨害罪の場合、初犯であれば、悪質と判断されない限り、不起訴になるか略式起訴になるケースがほとんどです。

    略式請求として起訴になった場合には、書類手続きのみの簡易的な裁判が行われ、罰金刑に処せられます。罰金刑でも有罪ということですから、当然、前科がつくことになる点に注意が必要です。可能な限り起訴を避ける必要があるでしょう。

    他方、公判請求として起訴された場合は、公開された裁判によって罪が裁かれることになります。懲役刑の場合、起訴されるのが初めてであれば、多くの場合執行猶予が付されます。ただ、過去に同種の犯罪で逮捕された前歴や、略式起訴を含めて有罪となった前科がある場合は、実刑になる場合もあります。

    なお、公務執行妨害罪は、一度の行為によって複数の罪が問われる可能性が高い犯罪です。そして、一度の行為が複数の犯罪を問える状況にあるとき、多くはもっとも重い量刑によって裁かれることになります。
    例えば、公務執行妨害罪の手段たる暴行によって相手が怪我をしてしまったときは、傷害罪が成立します。傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となり、公務執行妨害罪よりも法定刑が重くなります。この場合、公務執行妨害罪ではなく、傷害罪で処罰されるということです。

3、役所における行為が公務執行妨害罪になるケース

最近では、一般の市民が役所において職員に対して取った行動が公務執行妨害罪となってしまうケースが増えているという報告もあります。事実、公務執行妨害罪では、「殴る」「蹴る」などの明確な暴力や「殺すぞ」などの暴言だけでなく、幅広い行為が「暴行または脅迫」とみなされ、逮捕されることがあります。

では、具体的に、どのような行為が公務執行妨害にあたる可能性があるのでしょうか。

  • 職員の胸ぐらをつかむ
  • 「殺すぞ」とか「ひどい目に遭わせてやる」などと脅迫する
  • 役所の職員が示した公文書を破る
  • 机上のペンや、石を投げつける
  • 調査などができないように立ちふさがる
  • 腕をつかむ、強く振り払う
  • 職員が使用している端末を壊す


前述のとおり、実際に相手の公務が妨害されたケースはもちろん、妨害できなくとも、公務執行妨害の罪に問うことができます。もしあなたの家族が、カッとしたとき、物にあたったり暴言を吐いたりする気質があるのであれば注意しておいたほうがよいかもしれません。

4、公務執行妨害罪で逮捕された場合の対処法

  1. (1)公務執行妨害罪で逮捕されるケースとは

    公務執行妨害罪で逮捕されるケースは、現行犯逮捕である場合がほとんどです。

    逮捕には、大きく分けて、犯行を行ったその場で逮捕される現行犯逮捕と、後日、逮捕状を示して逮捕される通常逮捕がありますが、公務執行妨害罪においては、犯行の現場で逮捕されるかどうかがポイントです。

    犯行後、警察官が現場に到着した際に、冷静な状態で犯行を認め、反省もしていれば現行犯逮捕されずに「在宅事件扱い」となったり、微罪処分として釈放されたりする可能性もあるでしょう。反対に興奮していたり、犯行を否認したりしているような場合には現行犯逮捕される可能性が高くなります。また、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されたときにも現行犯逮捕されることがあります。

  2. (2)公務執行妨害罪で逮捕された後の流れ

    公務執行妨害罪で逮捕されると、まず、警察の留置場において48時間を限度に身柄を拘束されます。その間に警察から検察に送致され、検察官が24時間以内に、引き続き身柄を拘束して取り調べを行う「勾留(こうりゅう)」を請求するかどうかを判断します。

    検察官が勾留請求を行い、裁判所がこれを認めた場合、さらに10日間、延長によって最大20日間の勾留を受け、身柄拘束が続くことになります。検察官は、勾留期間が満了するまでに、起訴するかどうかを判断します。

    検察に送致された後、もし勾留に至らなかった場合でも、不起訴とならない限り「在宅事件扱い」として取り調べは続きます。検察からの呼び出しに応じて、捜査に協力する必要があるでしょう。在宅事件扱いとなったときは、捜査が終了次第「起訴」か「不起訴」かが決定します。

    もし、起訴となれば、刑事裁判によって罪が裁かれることになります。現状、起訴されたケースの99.9%が有罪となっているという統計データもあることから、起訴されたら前科がつくことを覚悟しておいたほうがよいでしょう。

    不起訴となれば、刑罰を処されることも、前科がつくこともありません。速やかに自宅に帰り、元通りの生活を送ることができるでしょう。

  3. (3)早期に釈放をしてもらうには

    公務執行妨害罪で逮捕されてしまうと、まずは勾留の必要性が判断されるまでの72時間、たとえ家族でも逮捕されてしまった本人との接見(面会や直接の差し入れ)ができません。もし勾留が決まってしまえば、最大で23日間の身柄拘束を受けてしまいます。

    仮に不起訴で終わったとしても、23日間も身柄を拘束されると、職場や学校を休むのも不自然になり、逮捕・勾留されていたことが職場や学校に露呈してしまう可能性もあります。そうなれば、日常へ影響が残ってしまう危険性は否定できません。

    そのため、公務執行妨害罪で逮捕されてしまったときには、まずは早期の釈放を目指し、次に、起訴を回避することを目指すことになるでしょう。しかし、前述のとおり、その他刑事事件のように示談を成立させることはできません。

    公務執行妨害罪で逮捕された場合に、警察や検察、裁判所が重視することは以下のような内容といわれています。

    • 本人がきちんと罪を認めて反省しているか
    • 今後再犯のおそれがないか
    • 相手となった公務員が怪我をしたとき、治療費などの支払いを申し出る


    特に、再犯のおそれが少ないと判断してもらうには、家族などの身近な方が、今後の監督を誓約するという方法があるでしょう。

    しかし、いずれの場合も本人と直接話ができなければ、家族は状況もわからず、どのような手を打てばよいのかわかりません。

    そこで、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士であれば、逮捕から勾留が決まるまでの間でも、唯一、逮捕されてしまった本人との接見が許されているためです。

    まずは弁護士を通じて、刑事事件がどのような流れで行われるのかという基礎知識や、どのような対応をしたほうがよいのかなどのアドバイスを本人に対して行う必要があるでしょう。反省の意を示すために、慈善団体などに贖罪(しょくざい)寄付をするというのも、釈放を早めるひとつの有効策です。

    家族ができるサポートについても、公務執行妨害に対応した経験が豊富な弁護士であれば、適切なタイミングや具体的な方法などのアドバイスが可能となります。依頼を受けた弁護士は、長期の身柄拘束と起訴されてしまう事態を回避できるよう、警察や検察、裁判官への働きかけを行うなどの弁護活動を行います。

5、まとめ

役所における公務員の対応に腹を立てた経験がある方もいるかもしれません。ただ、そこでカッとなって暴行や脅迫に及んでしまうと、公務執行妨害罪で現行犯逮捕されてしまう可能性があるため注意が必要です。公務員は、国もしくは自治体で決められている範囲で業務を遂行しているだけなのです。

万が一、逮捕されてしまった場合には、適切な対応が求められます。身柄の拘束が長期化してしまうと、その後の日常に大きな影響が出る可能性を否定できません。早期に釈放してもらえる状況をきちんとつくって、検察官に説明することが重要です。

もしあなたの家族や大切な人が公務執行妨害罪で逮捕されてしまったときは、ベリーベスト法律事務所・水戸オフィスまでご連絡ください。刑事事件に対応した実績が豊富な水戸オフィスの弁護士が、早期の釈放と起訴の回避を目指した弁護活動を行います。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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