公然わいせつで後日逮捕される可能性はある?

2018年09月28日
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公然わいせつで後日逮捕される可能性はある?

ある日突然、公然わいせつの容疑で自分が逮捕されたら……。家庭や仕事への影響は……。
弁護士などの法律の専門家でもない限り、公然わいせつの容疑で逮捕されたあと、どうなるのかを詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。ましてや、自分がはっきりと罪を犯した覚えがない場合にどう対処したらいいのか、困惑してしまうことでしょう。

今回は、そもそも、公然わいせつ罪とは、いったいどのようなことが罪に問われるのか? という基礎的な部分から、実際に公然わいせつの疑いで逮捕された場合、どのような手続きが行われるのかまで、弁護士が詳しく解説していきます。

1、刑事事件で逮捕される場合の流れ

日本で罪を犯した場合、刑法にのっとり、ほぼ同じ流れで罪が裁かれていくことになります。まずは、逮捕されてから罪が確定するまでの流れについて紹介します。

  1. (1)逮捕状の請求・執行

    日本国憲法では「人身の自由」が保障されていて、正当な理由がない限り、身柄を拘束できないと定めています。つまり、自分の意思で行動する自由が認められているのです。しかし、犯罪に関わった疑いが濃厚で、しかも証拠を隠滅したり逃亡したりするおそれがある場合には、即座に警察は身柄を拘束する必要があります。

    犯人とおぼしきものの身柄を拘束することを「逮捕」と呼びます。逮捕については、憲法第33条で「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない」と定めています。

  2. (2)逮捕後の取り調べ

    もしあなたに犯罪にかかわった疑いが濃厚となると、あなたは「被疑者(ひぎしゃ)」と呼ばれる立場となります。

    被疑者を逮捕した警察は、警察署内で被疑者を取り調べます。ただし、警察が被疑者の身柄を拘束できる時間は限られています。逮捕時刻から48時間以内には、検察庁に身柄を引き継がなくてはいけません。検察へ被疑者の身柄を引き渡すことを、一般的に「送検(そうけん)」と呼んでいます。

    送検後は、検察官による取り調べが行われます。検察官が捜査できる時間は24時間です。それ以降の拘束が必要な場合は、別途手続きが行われることになります。

    なお、逮捕からここまでの72時間は、原則的に被疑者の家族であっても、被疑者本人と面会できません。ただし、被疑者に要請された弁護士だけは、被疑者と面会ができます。

  3. (3)勾留(こうりゅう)

    検察官が、逮捕から72時間以内の捜査だけでは起訴か不起訴かを決められないと判断した場合、被疑者の身柄を延長して取り調べるための手続きである「勾留の請求」を裁判所に行うことができます。この請求が認められれば、被疑者は、最長で20日間延長して勾留されることになります。

  4. (4)検察の決定

    勾留期間が満了するまでに、検察官は被疑者を起訴するかどうかを決定します。

    「不起訴」「略式請求」「処分保留」となった場合には、即時保釈されます。また、「起訴処分」になった場合、裁判の期日が決まり、裁判後に判決が出されます。

    起訴の処分が決定されたのち、保釈の手続きを行うことができます。証拠隠滅や逃亡のおそれがない場合には、保釈が認められて、逮捕後初めて身柄拘束が解かれることになります。

2、公然わいせつと逮捕

次に、公然わいせつ罪についての基礎知識を紹介します。

  1. (1)公然わいせつとは何か

    公然わいせつ罪とは、刑法第174条で定められている犯罪で、以下のように記されています。
    「公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」

    つまり、不特定もしくは多数の人が目撃する可能性がある場所で、いたずらに他人の性欲を興奮、刺激させて、通常の人の性的な羞恥心を害する行為が該当します。例えば、次のような行為がこれに当たります。

    • 街中の公園で下半身を露出する
    • 公共の駐車場に止めた車中で性行為を行う
    • 全裸や自慰、性行為などの様子をインターネットでリアルタイム配信する

    公然わいせつ罪の量刑(りょうけい)は、刑法で定められているとおり、「6カ月以下の懲役(ちょうえき)30万円以下の罰金拘留(こうりゅう)科料(かりょう)」のいずれかとなります。

  2. (2)現行犯逮捕

    公然わいせつの現場で、その行為を目撃した一般の人が捕まえる、あるいは通報を受けた警察官が逮捕する場合を「現行犯逮捕」と呼ばれています。現行犯に限っては,私人による逮捕行為が許されています。

  3. (3)通常逮捕

    公然わいせつのほとんどが現行犯逮捕ですが、まれに犯行日以降に逮捕されることがあります。これが通常逮捕です。

    例えば、次のようなケースで後日逮捕されるケースがあるようです。

    • 路上で全裸になった様子などが防犯カメラに残っていた
    • 一般の目撃情報が多く、警察が捜査した結果、個人を特定できた
    • 明確な証拠があるにも関わらず本人が否認していて、なおかつ証拠隠滅のおそれがある

    通常逮捕では、逮捕状を取る必要があるため、確固たる証拠がなければ逮捕は難しいといわれています。また、公然わいせつ罪は、他の犯罪と比べると量刑が軽微な犯罪です。警察がわざわざ裁判所に逮捕状を請求する例は、それほど多くないかもしれません。

3、弁護士への相談・依頼

刑事事件では、逮捕から最長23日で起訴されるかどうかが決まってしまいます。また、起訴されて刑事裁判になれば、極めて高い確率で有罪になるという統計データもあります。

起訴を避け、前科がつかないようにするためには、個別に状況を顧みた対策が必要不可欠です。また、起訴までの判断が長引くと、それだけ身柄を拘束される日数が増えるため、仕事や学校などの日常に影響が出る可能性が高まります。

公然わいせつ罪の疑いで逮捕されたときや、逮捕される可能性があるときは、できる限り早く弁護士へ相談しておくことをおすすめします。

  1. (1)逮捕前の相談

    もしあなたが、公然わいせつ罪を犯した可能性があり、まだ逮捕される前であれば、事前に刑事事件に詳しい弁護士に相談しましょう。

    相談の際には、罪を犯したと思われる時刻と、前後の出来事をできる限り具体的に説明することをおすすめします。公然わいせつの現場に防犯カメラがあったか、目撃者がいたか等も重要です。その上で、今後の対応について弁護士からアドバイスをもらうことになります。

  2. (2)逮捕後の相談

    逮捕された場合、事前に弁護士に相談していた場合には、すでに詳細を知っている弁護士に連絡を取り、弁護を依頼したほうがよいでしょう。

    もし事前に相談していない場合でも、地元の弁護士会に連絡を取り、そのときの当番弁護士に依頼することができます。自分で依頼する弁護士を私選弁護人、裁判官により選任された弁護士を国選弁護人と言いますが、仕事そのものには大差はありません。

    逮捕から勾留が決定するまでの間は、原則として弁護士以外の人物と面会することができません。ここで、あなた自身の気持ちや状況などの話をしたり、被害者がいる場合は示談を目指した話し合いをしておかなければ、身柄が拘束される日数が伸びてしまうことになります。

  3. (3)弁護士への依頼

    逮捕されてしまってから弁護士と面会したときは、正式な依頼とともに、家族との連絡を依頼します。会社への連絡については、もっとも悩むところでしょう。たとえ裁判の結果「無罪」になったとしても、まだまだ日本では「警察に逮捕された、しかも罪名が公然わいせつ」という事実があるだけで、肩身の狭い思いをする可能性が高いためです。

    私選弁護士であれば、日常に戻る上でも不利にならないよう、あらゆる視点からアドバイスを行います。必要があれば、会社へ赴き、状況の説明を行うことも可能です。弁護士からの意見を参考にして対応することをおすすめします。

    その後は、送検された上で、起訴、不起訴が決定します。弁護士は、取り調べの間も相談できますし、どのように対処したらいいかのアドバイスを行います。

    ただし、捜査対象が公然わいせつ罪のみであれば、自分の非を認めることを前提に、早めに略式請求がなされて釈放されるケースもありえます。罰金などが科せられますが、早期に釈放されることで、社会への復帰、特に会社に逮捕の事実を知られることなく、職場復帰することができます。

    いずれにしても、刑事事件、特に公然わいせつ事件に精通している弁護士のアドバイスに従うことが大切です。

4、まとめ

刑事事件で警察に逮捕された場合、警察が被疑者に対して、その後の手続きを細かく説明することはありません。逮捕された家族も同じく、事態を全く把握できないまま、手続きだけが進んでいきます。

そのようなとき、頼りになるのが、刑事事件、特に公然わいせつ事件に詳しい弁護士です。

相談は早ければ早いほど、対処法の選択肢が広がります。被疑者はもちろん、家族も余裕をもって対応することができるでしょう。自分が公然わいせつ罪を犯したのではないかと思ったら、ベリーベスト法律事務所・水戸オフィスまでご連絡ください。茨城県水戸警察署の近隣にオフィスを構えているため、万が一逮捕されてしまった場合でも、迅速な対応が可能です。お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています