公然わいせつ罪で身内が逮捕! 逮捕後の流れと家族ができることとは
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公然わいせつ罪という言葉自体は、ニュースなどで耳にしたことがあるかもしれません。公然わいせつ罪は他の性犯罪とは異なり、直接的な被害者がいないケースが多く「被害者なき犯罪」と言われもします。
本コラムでは、公然わいせつ罪の概要や、家族が公然わいせつで逮捕されたとき、残された家族ができることなどついて、水戸オフィスの弁護士が解説していきます。
1、公然わいせつ罪が成立する要件
公然わいせつ罪は「公然とわいせつな行為をすること」と定められています。しかし、どのような行為がわいせつな行為に該当するのか判断が難しいという側面があります。ここでは公然わいせつ罪について解説します。
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(1)「公然」とは
公然わいせつ罪では、不特定多数の人が認識できる状態を公然と判断します。たとえ誰もいない公園や駐車場で、他の人に見られないように隠れて行為に及んだとしても、不特定多数の人に見られてしまう可能性があれば公然わいせつに該当します。
また、公共の場でなくても、他人から見られる恐れがあれば以下のような状況でも「公然」に含まれる可能性があり、実際に逮捕されたケースもあります。- 自宅の窓を開けた状態での行為
- インターネットで行為に及んでいるところを配信
- ハプニングバー
- ストリップ劇場
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(2)「わいせつな行為」とは
「わいせつな行為」という言葉自体が漠然としていて、どのような行為がわいせつ性を持っているのかについては判断が難しいと言えます。判例では「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義概念に反する」ことと定義づけています。
一般的には下半身の露出や性交、性交に類似する行為が「わいせつな行為」に含まれています。しかし、通常は公園などに設置してある裸体の像がわいせつ物であるとは言わないように、わいせつ行為の中には線引きが難しいものがあります。
また、「着替えていただけ」にもかかわらず露出行為に及んでいると目撃者が勘違いして通報し、逮捕されるということも考えられます。複数の目撃証言があるにもかかわらず行為を認めない場合は取調べが厳しくなる可能性があり、本来なら公然わいせつにあたらないのに罪を認めてしまう方もいると言われています。
そのような事態を防ぐためにも、なるべく早く弁護士に相談して逮捕された家族を守ることが大切です。
2、現行犯逮捕と通常逮捕
公然わいせつ罪は、目撃者や通行人からの通報により発覚することが多い犯罪です。公然わいせつ罪で逮捕される場合、犯行中もしくは犯行直後に逮捕される現行犯逮捕か、犯行後に逮捕状によって逮捕される通常逮捕の2種類が考えられます。
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(1)現行犯逮捕
公然わいせつ罪は現行犯で逮捕されるケースが多い傾向があります。現行犯逮捕では目撃者や通行人が警察に通報し、現場に駆け付けた警察官によって逮捕されます。現行犯逮捕の場合は、目撃者である私人によって逮捕されるケースもあります。犯人が逃走してしまった場合は通常逮捕となります。
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(2)通常逮捕
通常逮捕では、犯行後に警察によって逮捕されます。現行犯逮捕とは異なり、被疑者が判明したからといってすぐに逮捕できるわけではありません。警察が裁判所に逮捕状を請求し、裁判所が逮捕状を発行します。そのため、いつ逮捕されるのかは警察の捜査の進捗(しんちょく)具合によるため分かりません。一般的に単純な公然わいせつでは事件発生から1ヶ月程度で逮捕されるケースが多く、犯人が複数いる場合は半年から1年以上かかることもあります。
公然わいせつにあたる行為であっても、悪質性が低く軽微である場合には、逮捕されないケースもありえます。一方で、次の項目に該当する場合は逮捕される可能性が高くなります。- 証拠隠滅の恐れがある
- 容疑を否認している
- 容疑者が複数いる
特に被疑者が複数人いる場合は口裏を合わせて証拠の隠滅を図り、容疑を否認する可能性が高まるため、警察も逮捕に踏み切る可能性が高くなります。
3、逮捕された後の流れ
警察に逮捕されると最大で72時間、身柄を拘束されます。その間に警察や検察による取調べが行われ、勾留するかどうかを判断します。72時間を超えても身柄の拘束が必要だと判断されれば、検察官が勾留請求をします。この請求が認められれば最大で20日間身柄の拘束が延長されます。その後、勾留期間中に検察官が起訴するかどうかを判断します。
しかし、公然わいせつ罪は他の性犯罪と比較しても量刑が軽く、早期に身柄を釈放される可能性が比較的高い犯罪です。また、処分についても、書面での手続きが終了する「略式命令」で事件が終了するケースや、有罪判決が下ったとしても執行猶予付きになるケースが多いでしょう。もっと軽微な場合は身柄を拘束されず、在宅起訴で手続きが完了することもありえます。
4、罪は軽いが社会的制裁は重い
公然わいせつ罪で有罪判決が下ると、6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留、科料のいずれかが科されます。実際に、逮捕された被疑者が罪を認め反省している場合は、略式起訴で罰金刑となり早期に釈放され、職場や周囲の方に知られることなく終わることもあります。しかし、実名報道されたり職場に知られてしまったりすると社会的信用を失い、失職したり再就職が難しくなる可能性が高くなります。
公然わいせつ罪は直接的な被害者がいないケースが多いため比較的罪が軽くなる傾向にありますが、社会的な制裁は重いため、公然わいせつ罪で逮捕された場合はできる限り早く釈放してもらうことが大切です。ただし、同じ罪で前科があるケースや悪質性が高いと判断されたケースでは、拘束期間が長くなる可能性があるため注意が必要です。
5、残された家族にできること
このように社会的な制裁による日常生活への影響が大きい公然わいせつ罪では、家族が逮捕されてからすぐに早期釈放に向けて活動することが大切です。また、公然わいせつ罪の罪状や逮捕後の手続き、早期釈放に向けて取れる手段などについて説明してもらうためにも、家族が逮捕されたらできるだけ速やかに弁護士に相談するようにしましょう。そして、必要があれば弁護活動を依頼し、逮捕された家族の早期釈放に向けて働きかけてもらうようにしましょう。被害者がいる場合は示談交渉も必要になると考えられるため、すぐに弁護士に相談できる状態を作っておくことが重要です。
6、まとめ
公然わいせつ罪の概要と逮捕されたときの流れについて紹介しました。もしも家族が公然わいせつの容疑で逮捕されてしまったときは、逮捕された家族の日常を守るためにもすぐに弁護士に相談するようにしましょう。家族が公然わいせつで逮捕されたら、まずはベリーベスト法律事務所・水戸オフィスまでご相談ください。水戸オフィスの弁護士が相談者さまのご希望に添えるように全力で対応いたします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています