X(旧Twitter)などSNSへわいせつ画像をアップ・保存するのは違法?
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迷惑動画を撮影してX(旧Twitter)などSNSにアップする行為は罪に問われる可能性があり、社会的にも大きなダメージを受けることは、すでに知っておられることでしょう。他方で、無修正などのわいせつな動画をアップしたり共有したり、ダウンロードをする行為は、罪に問われるのか、心配されている方は少なくないようです。結論から申し上げますと、わいせつ物に該当する作品の取り扱いには注意する必要があります。これらの行為が違法行為に該当し、逮捕されるケースがあるためです。
実際に、令和4年11月、Twitterを通じて集客してわいせつな動画をダウンロードさせていた茨城県在住の男が逮捕されたという報道がありました。男は、「公開していないアカウントであれば無修正動画を送っても罪にならないと思っていた」と証言していたようです。
そこで、本コラムでは、X(旧Twitter)をはじめとしたSNSを利用する際に気をつけるべきことや、違法となりうる行為について、ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスの弁護士が解説します。
1、X(旧Twitter)などSNSにわいせつ画像を載せるのは犯罪?
X(旧Twitter)など、SNSにわいせつ画像や動画を掲載することは、複数の犯罪行為に当てはまる可能性があります。ここでは、具体的にどのような罪に問われるのか説明していきます。
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(1)わいせつ物頒布等罪
わいせつな画像をX(旧Twitter)に載せた場合、わいせつ物頒布等罪にあたる可能性があります。
刑法第175条第1項では、「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする」としています。
この条文にある「公然」とは、「不特定または多数人が知り得る状態」のことを指します。したがって、X(旧Twitter)のように不特定多数の人間が閲覧できるような形でわいせつ画像を載せると、これに該当する可能性があるのです。 -
(2)併せて問われる罪
また、掲載したわいせつ画像の内容によっては、同時に以下の罪にも問われる可能性があります。
●児童ポルノ禁止法(正式名称は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制. 及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」)違反
アップした画像が児童(18歳未満)のわいせつ画像であれば、児童ポルノ規制法に違反することになります。なお、児童ポルノについては性的好奇心を満たす目的でデータを所持していると、ネットにアップをしていなくても違反行為となります。
●リベンジポルノ対策法(正式名称は「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」)違反
交際していた相手とのわいせつな画像を復讐目的でインターネット上に流出させるなどの行為が取り締まりの対象となります。X(旧Twitter)上にアップすることも当然これにあたるでしょう。
手元にあるスマホで気軽にできてしまう行為が、犯罪として処罰の対象になることは意外と多いものです。インターネット上に画像をアップする際は注意してください。
2、他にもあるX(旧Twitter)の注意点
X(旧Twitter)の機能やその性質上、わいせつ画像のアップの他にもさまざまな行為が違法となる可能性があります。以下、具体的に説明していきます。
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(1)リポスト(旧リツイート)やお気に入りも犯罪?
X(旧Twitter)は自らポスト(旧ツイート)するだけでなく、他人のポストを自分のフォロワーに拡散するリポスト(旧リツイート)機能や、お気に入り登録をしてリスト化することもできます。「お気に入り」も、他のフォロワーが見ることが可能なリストです。自動でポストされる機能もあることから、X(旧Twitter)は高い拡散力を持っているツールということをご理解いただけるでしょう。
このようなX(旧Twitter)では、自分自身は違法な内容を投稿していなくても、リポスト(旧リツイート)によって拡散することで、名誉毀損(きそん)や業務妨害の罪に該当してしまう可能性が考えられます。また、同様にリベンジポルノ防止法違反や児童ポルノ規制法違反にあたることもありえるでしょう。
その他、選挙運動のメッセージを拡散したときには、公職選挙法違反になってしまう可能性もあります。選挙に関わることには特に配慮して情報を扱いましょう。 -
(2)X(旧Twitter)上のわいせつ画像を保存するのは違法?
それではX(旧Twitter)上で拡散されてきたわいせつな画像を、自分のスマホやPCに保存することは違法となるのでしょうか。
基本的にインターネット上の画像を保存するだけでは、違法行為とはなりません。しかし、その利用については「私的利用」に限られます。自分が自宅で画像を見るだけなら私的利用の範囲内ですが、X(旧Twitter)に載せてしまうと自分が見る目的であっても私的利用の範囲外とされます。
また、前述したとおり、児童のわいせつな画像についてはX(旧Twitter)上で保存しデータを持っていると、児童ポルノ禁止法によって1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります。 -
(3)X(旧Twitter)を通じた出会いからも事件に発展
SNSを利用すれば、今までに現実には出会ったことのない多くの人間と簡単にコミュニケーションが取れるようになります。特にX(旧Twitter)では、ダイレクトメッセージを通すことで他人に見られることなくやり取りすることも可能です。
これが現実の出会いにもつながり、良い関係性を築くこともあるかもしれませんが、一方で売春や詐欺などの事件に発展する可能性もあります。このような被害に遭わないよう、SNSで知り合った人間とは人気のあるところで会うなど、事件に発展しないよう気をつけたほうがよいでしょう。
3、犯罪かどうか心配なときは弁護士にご相談を
X(旧Twitter)を使った画像や動画のアップロードやポスト(旧ツイート)・リポスト(旧リツイート)などは、その行為が犯罪にあたるのかどうか簡単に判別できないことが多いものです。しかし、軽い気持ちでポストしたことがきっかけで、逮捕されたケースもあります。
同じ行為でも画像の内容によっては該当する罪が変わる可能性があります。SNSなどを使っていく上で、自分がやった行為が犯罪かどうか心配なときはぜひ弁護士にご相談ください。
一度ネットにアップした情報は容易には消えないものです。自分でアップした内容は消せても、無限にコピーが作られ、再配布されてしまうケースは少なくありません。このような事態に、どのような対応を取ればいいのか、どのような手順で、誰に請求すればいいのかはなかなかわからないでしょう。
しかし、弁護士であれば、代理人としてプロバイダー管理者に情報の削除を求めることが可能です。また。リベンジポルノをアップしてしまった場合などは、被害者と示談交渉をすることも可能です。
気軽にアップした情報で、思わぬ事態に陥ってしまったときは、炎上などの事態にも発展して気が動転してしまうかもしれません。しかし、まずは落ち着いて、弁護士に相談してみてください。
4、まとめ
SNSは今や生活の一部ともいえる、身近なツールです。その分、発信する内容に気をつけなければ事件に巻き込まれてしまう場合があります。
もし、X(旧Twitter)などでトラブルが発生した場合や、何か不安なことがある方は、まずはベリーベスト法律事務所 水戸オフィスまでご相談ください。該当の行為が違法かどうか、今後犯罪に発展しないようにどのような行動をとるべきか、刑事事件に対応した実績が豊富な弁護士がアドバイスします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています