夫が痴漢容疑で逮捕! 冤罪を晴らすために家族がすべきことを弁護士が解説
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水戸市は自動車通勤が多い土地柄です。それでもJR水戸駅の乗車人数は1日約3万人に上り、JR常磐線などを利用して通勤通学しているご家庭も少なくないのではないでしょうか。
混雑する電車の車内では、残念ながら痴漢がしばしば発生します。痴漢は大変卑劣な性犯罪ですが、混雑した車内で誰の手が当たっているかがはっきりしないケースもあるでしょう。もしもご家族に痴漢の嫌疑がかかり、万が一逮捕されてしまった場合、どのように対処すべきでしょうか。
本コラムでは、痴漢冤罪で逮捕された場合にどうなるのか、冤罪を晴らすために家族として何をすべきかについて、水戸オフィスの弁護士が解説します。
1、痴漢冤罪で警察に逮捕されるとどうなる?
家族が痴漢で逮捕された、などという連絡が突然あったとしたら、これからどうなってしまうのか不安にかられるのも無理はありません。
まずは、逮捕後の流れや身柄拘束の期間について解説します。
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(1)被疑者として逮捕された後の処遇とは
痴漢事件で逮捕されると、以下のような流れをたどることになります。
- 逮捕直後……警察の留置場へ収監され、警察の取り調べを受ける
- 逮捕後48時間以内……警察から検察へ送致(又は釈放)
- 検察への身柄送致から24時間以内……検察での取り調べと裁判所への勾留請求(又は在宅事件扱いへの切り替え)
- 勾留決定後……原則10日間の勾留。延長されると最長で20日間の勾留
- 勾留期間満了まで(又は在宅事件扱いで取り調べが終わり次第)……起訴、不起訴、処分保留の決定
このように、逮捕から起訴されるかどうかが決まるまでだけでも、最長で23日間身柄を拘束される可能性があります。
起訴されたとしても公判請求となれば、保釈が認められない限り、判決まで身柄を拘束されます。また、起訴されてしまうと日本の刑事裁判では99.9%以上が有罪となってしまうため、起訴を回避することが非常に重要です。 -
(2)どのような取り調べを受けるのか
警察での取り調べでは、痴漢をしたか否か、事件前後の行動など、詳細な質問を受けます。取り調べで答えた内容は供述調書として作成され、内容を読み聞かせられた後、署名を求められます。もちろん、検察官からの取り調べも受けることになります。
冤罪を主張する場合は、捜査機関と意見が対立していることとなります。したがって、取り調べが厳しくなり、勾留されやすく、また繰り返し自白を促されるケースもあるようです。
自白は裁判において非常に重要な証拠として扱われます。事実と異なった自白をすると、裁判でそれを覆すことは非常に難しくなってしまいます。不利な供述をしないように、逮捕直後から被疑者と自由に接見が許されている弁護士が、取り調べの応対の仕方をサポートする必要があるでしょう。 -
(3)勾留を回避するには
勾留(こうりゅう)とは、身柄を拘束する処分です。これが認められるのは「住所不定の場合や証拠隠滅・逃亡のおそれがある場合」に限られます。
罪を認め、捜査機関と事実関係を争わない場合は、検察には事件の調査資料のみ送致し、身柄は釈放される「在宅事件扱い」となるケースがほとんどです。報道などで「書類送検」と報じられるケースがこれにあたります。この場合は、自宅に帰ることができ、随時呼び出しに応じ捜査に協力することとなります。
しかし、冤罪の場合は罪を否認することになるでしょう。その場合、勾留請求される可能性が高まります。
一方で、被疑者の主張を否定する十分な理由がない、被疑者の主張に説得力があるといった場合には、痴漢を否認しても勾留請求がなされないこともあります。弁護士のサポートを受けて、在宅事件扱いとなるように働きかけることが重要です。 -
(4)会社や学校への影響で考えられること
家族としては、逮捕の事実をもって解雇や退学となることを心配されるかもしれません。
しかし、逮捕された段階では、実際に罪を犯したかが確定しているわけではありません。逮捕の事実だけで、すぐに解雇や退学処分となることは考えにくいといえます。ただし、身柄を拘束されている間は会社や学校を休むことになるため、身柄拘束が長引く場合には何らかの処分を受ける可能性があることは否めません。
少なくとも、無断で休めばそのリスクは上がるため、家族が関係各所に事情を連絡する必要があります。
2、痴漢冤罪を晴らすために家族は何をすべき?
もしも夫や息子が痴漢冤罪に巻き込まれたら、疑いを晴らすために、家族は何をすべきでしょうか。
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(1)刑事事件に対応した経験が豊富な弁護士に相談する
まずは、一刻も早く弁護士に相談することが大切です。
できれば痴漢の疑いがかけられた段階ですぐに弁護士に電話し、逮捕前に弁護士と話すことができれば、そもそも逮捕を回避できる可能性もあります。普段から、かかりつけ医のように、いざというときに連絡できる弁護士を見つけておくことも一案です。
弁護士に依頼すると、以下の点で有利になります。- 本人の主張を確認する
- 取り調べ対応についてのアドバイスが得られる
- 勾留や起訴の回避に向けた効果的な働きかけを行える
- 本人に代わって、無罪を示す証拠や目撃者情報を集められる
- 起訴され裁判になったときの刑事弁護を行える
刑事事件では、被害者の供述が二転三転したり、信用性に欠けたり、矛盾点があることも少なくありません。捜査で得られた証拠や、弁護側の集めた証拠など、客観的な事実を重ねて、その矛盾を指摘することで弁護士は無罪を訴えかけることになります。
弁護活動は着手が早ければ早いほど、打てる手が多くなるものです。 -
(2)本人の精神的サポートを続ける
逮捕後は、弁護士以外が被疑者本人と面会することは原則として許されません。ただし勾留に至った場合は、証拠隠滅の可能性などよほどの理由がない限り、面会が許可されるでしょう。面会で家族の顔を見て話せることは精神的な支えになります。
身柄釈放後の在宅捜査が長期に及ぶ場合にも、度重なる取り調べにより、本人は精神的に追い詰められ、疲弊することもしばしばあるでしょう。家族は、本人を信じて支える姿勢を示し続けることが大切です。
3、冤罪を晴らすための証拠となり得るものは?
痴漢事件においては、以下のようなものが冤罪の証拠となることがあります。証拠の事例を事前に知っておくことで、疑いをかけられた時点で取れる手だてが増えるかもしれません。
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(1)防犯カメラの映像
駅出入り口や構内、エレベーター内の防犯カメラに痴漢の現場が映像に残っていれば、無実を主張する直接的な証拠となり得ます。被害者の供述と、被疑者の位置が矛盾している、つり革を両手でつかんでいるなどの映像があれば、無罪の証拠となる可能性が出てくるでしょう。
ただし、残念ながら電車内での痴漢事件で、犯行現場の映像証拠を得ることは難しいのが現状です。日頃から、交通機関を利用する際なるべく防犯カメラの近くに位置取りすることも、冤罪に巻き込まれない自衛策のひとつとなりえるでしょう。 -
(2)周囲の目撃情報
痴漢は現行犯逮捕されるケースが多いため、事件当初の様子を覚えている人がいる可能性があります。逮捕されたとき、近くにいた乗客が「被疑者は両手を上げていた」「携帯電話を操作しており痴漢が不可能だった」などの事実を確認している場合、証言を依頼できるとよいでしょう。
嫌疑をかけられたら、すぐ自分の携帯などでその周囲の写真や動画を少しでも残しておくことも一案です。犯行そのものの映像ではないため、直接無罪の証拠にはなりませんが、犯行状況を再現したり、のちに証言を依頼したりするための切り口となりえます。 -
(3)手や指に付着した繊維やDNAの鑑定
痴漢で逮捕されたなら、その場で何も触らないようにして、警察に対して付着物鑑定やDNA鑑定を要求しましょう。被疑者の手や指に被害者の下着や衣服の繊維、被害者のDNAが付着していなければ、痴漢をしていないと主張することができます。
なお、たとえ繊維やDNAがでてこなかったとしても、痴漢をしていない証明としては弱いと判断されることもあります。しかしながら、素肌には直接触れてはいないと判断されれば、迷惑防止条例違反より悪質で刑罰が重い「強制わいせつ罪」で立件される可能性は回避できるでしょう。
4、まとめ
痴漢事件では物証が見つかりにくく、被害者の供述が重視されやすいという背景から、冤罪であるにもかかわらず、起訴され前科がついてしまうケースもありえます。そのような納得できない結果にならないためにも、弁護士の早期の弁護着手が非常に重要です。
家族としては、できる限り速やかに弁護士に相談し、本人の精神的な支えとなりながら、解決に向けて手を打つことをおすすめします。あなたの家族が「痴漢の冤罪を晴らしたい」、「痴漢の嫌疑をかけられて困っている」というときは、水戸オフィスの弁護士で相談してください。刑事事件に対応した経験が豊富な弁護士が力を尽くします。
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