偶然触れても痴漢になる? 後日逮捕の可能性や対策について弁護士が解説
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令和4年版「水戸市の概要」を見ると、水戸市は通勤や通学によって昼間人口が多いことがわかっています。通勤途中の人混みで意図せず女性とぶつかってしまうこともあるでしょう。そこでもし、痴漢に勘違いされた場合、あなたはどうしますか?
もちろん痴漢の意図などないのですから、あなたは何も考えずにそのままいつもの通勤ルートで行動し、普段通りの生活をその後も送ると思います。しかし、女性が痴漢被害にあったと警察に相談して、後日警察がやって来て逮捕されてしまう可能性もないわけではありません。
この記事では、偶然にも女性の身体に触れてしまったケースが痴漢に該当するのか、後日逮捕されることがあるのかなどを解説していきます。
1、痴漢とは?
痴漢は性犯罪のひとつで、法律や条例で禁止されている行為です。刑法では強制わいせつ罪となり、13歳以上の者に対して暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした場合、6ヶ月以上10年以下の懲役に処せられます。
また、各地方自治体が定める迷惑防止条例違反として罪に問われるケースも少なくありません。罰則の詳細は各都道府県によって異なりますが、水戸市の場合、茨城県の迷惑防止条例に基づいた罰則に処されることになります。具体的には、迷惑防止条例違反で有罪になると、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金と定められています。
痴漢として逮捕される事件のほとんどが、満員電車や人ごみなどの中で胸や尻などを衣服の上から触る迷惑防止条例違反に該当します。
しかし、人ごみに押されたりして偶然にも身体に触れてしまった場合でも、迷惑防止条例違反は成立するのでしょうか?
結論をいえば、このケースでは迷惑防止条例違反も、もちろん強制わいせつ罪も成立しません。なぜなら、故意がないからです。痴漢の場合は、故意、つまり自分の行為を認識したうえであえて身体に触った場合は犯罪になりますが、不可抗力で身体に触れただけでは犯罪は成立しないのです。
しかし、行為が不可抗力によるものか否かの判別は難しいものです。疑われた場合は冷静に対処できるように心がけましょう。対応によっては嫌疑が深まってしまう可能性があるでしょう。
2、痴漢事件の逮捕
痴漢は現行犯逮捕が多い印象がある事件です。これは、痴漢の被害者自身や周囲の人間が犯人を取り押さえて駅員に引き渡すなどのイメージが強いからでしょう。
現場で犯人を取り押さえた場合は罪を犯したことが明らかであるため、一般人も逮捕することが可能になります。これを「現行犯逮捕」と呼ばれています。
しかし、現場で捕まらなかったからといって、逮捕されないわけではありません。後日、警察が捜査をもとに裁判所から逮捕状の発行を受けて家に逮捕に訪れる場合があります。これを「通常逮捕」と呼びます。
後日逮捕にいたる場合、逮捕状が発行されます。被害者や周囲の人間からの詳しい事情聴取、駅構内に設置された防犯ビデオカメラの解析、定期カードなどの乗車記録の照会などを証拠に逮捕状が出されることが多いと考えられます。確かな証拠があるだけに、釈放がなかなか難しい状況になると考えてよいでしょう。
3、痴漢冤罪はすぐ弁護士に相談を
故意ではなく女性の身体に触れてしまい、その場では騒ぎにならなかったため安心していたところ後日逮捕される。そのような不安が現実なる可能性はゼロではありません。
不安があるときは、まずは弁護士に相談することが重要です。しかし、一般的には弁護士がどのような働きをしてくれるのか知らない場合がほとんどでしょう。ここでは、痴漢で逮捕された場合に弁護士がどのようなサポートを行うのかについて説明します。
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(1)面会
痴漢冤罪で後日逮捕された場合、証拠がそろっていることから警察からは厳しい追及が想像されます。
逮捕されてから勾留が決定するまで、原則的に家族でも面会できません。このため、精神的に不安になってしまい、やってもいない犯行を自白してしまう可能性もあります。しかし、弁護士でしたら逮捕直後でも面会ができます。取り調べに対する適切なアドバイスを受けることができ、精神的にも落ち着いて対応できるようになるでしょう。 -
(2)示談交渉
示談とは、当事者が話し合って問題を解決する制度です。しかし、性犯罪の場合は、被害者と感情がもつれてうまく交渉がまとまらない可能性が高いと考えられます。特に、犯行を否認している冤罪事件であればなおさらでしょう。
そのようなケースでも、第三者である弁護士が間に入ることによって、交渉がうまく進み、被害届を取り下げてもらうことができる可能性を高めることができます。被害届が取り下げられれば、早期釈放を期待できるでしょう。 -
(3)早期釈放へのサポート
逮捕されてしまうと、警察で最長48時間、検察では最長24時間の取り調べがあります。検察はさらに捜査が必要と判断した場合、裁判所に勾留請求を行います。裁判所の許可がおりれば、原則10日間、追加で10日間の勾留を受ける場合があるでしょう。
つまり、逮捕されると起訴か不起訴かが決まるまでのあいだだけでも最長23日間もの間、勾留されて取り調べられる可能性があるのです。しかし、証拠隠滅や逃亡のおそれがない、もしくは罪を犯した疑いはないと弁護士による訴えが通る可能性があります。その際は、早期釈放、もしくは在宅での取り調べに切り替わることになるでしょう。
在宅での取り調べに切り替わることを「在宅事件扱い」と呼びます。無罪放免ではありませんが、仕事や学校へ通うことができるでしょう。ただし、取り調べへの協力をする必要があります。もし拒み続けたときは、身柄の拘束を受けることになる可能性が高まります。できるだけ取り調べに協力することをおすすめします。 -
(4)学校、職場への適切な対応
前述したように、逮捕されると長期間の拘束を受けることがあります。裁判で無実が証明されるまでは長い年月を必要とするケースもあり、学校や会社に知られて退学や退職を迫られる可能性は否定できません。
しかし、そのようなときも弁護士を依頼していれば、検察官や裁判所に働きかけて、早期釈放を求めることができます。さらに、会社や学校にも経緯を説明して、処分を待っていてもらえるよう交渉することも可能です。
前述のとおり、後日逮捕は証拠がそろっているケースがほとんどです。そのような中で犯行を頭ごなしに否認するだけでは警察や検察にこちらの主張が伝わらない可能性があります。結果、なかなか釈放されない事態に陥ってしまいかねません。しかし、やってもいない罪を背負うことはないでしょう。真犯人をしっかり逮捕してもらうためにも、痴漢冤罪で捕まった場合はすぐに弁護士に相談して適切な対応をするようにしましょう。
4、まとめ
今回は、偶然女性の身体に触れたことで、痴漢に間違われたまま後日に逮捕されてしまう可能性と、すぐにとるべき対応を解説しました。
そのときは捕まらなかったからといって油断してはなりません。ある日突然、逮捕状を持って警察が逮捕にやってくる可能性があるのです。その際、即時に冷静な対応をとることはほとんどの場合難しいでしょう。そのようなときは、すぐに弁護士にご相談ください。早期釈放、誤解の解消に向けてサポートします。
逮捕はされなかったが痴漢の疑いを持たれて悩んでいる方、家族が痴漢の疑いをかけられて悩んでいるときは、ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスまでお気軽にご相談ください。刑事事件の経験豊富な弁護士が迅速に対応します。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています