未成年者にわいせつな自撮り画像を要求してしまって逮捕! 量刑や対処法は?

2019年06月21日
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未成年者にわいせつな自撮り画像を要求してしまって逮捕! 量刑や対処法は?

平成30年11月、茨城県守谷市の小学校講師が、ゲームアプリ上で小学校6年生の女児になりすまして、小学校4年生の女児からわいせつな自撮り画像を送信させたとして、強制わいせつと児童買春・児童ポルノ禁止法違反の容疑で逮捕されたという報道がありました。

もし、未成年にわいせつな自撮り画像の送信させた場合は、上記のほかにも青少年健全育成条例違反の罪が適用される可能性もあります。
そこで、今回はベリーベスト法律事務所 水戸オフィスの弁護士が自撮り画像の送信を要求した場合の罪名や量刑などをわかりやすく解説します。

1、わいせつな自撮り画像を要求するのは違反行為?

未成年のわいせつな自撮り画像を要求すること自体が、各都道府県の条例違反に該当する可能性があります。また、送信させた場合は「児童ポルノ法禁止法」違反です。

  1. (1)各都道府県別の条例違反

    条例は法律とは異なり、地域の特性に適した取り締まりができるように都道府県単位で定められているものです。茨城県は「青少年の健全育成等に関する条例」という条例が存在します。

    東京都など、複数の自治体ではすでに自撮り被害に対応すべく、「青少年育成条例」によって未成年のわいせつな自撮り画像を提供させることを明確に規制対象としています。たとえば兵庫県の条例では「何人も青少年に対し児童ポルノ等の提供を求めてはならない」と明文化しているのです。該当部分のポイントは「自撮り画像の送信を要求しただけ」で違法になるという点です。実際に相手が送信してこなくても、「送ってよ」と依頼するだけで罪に問われる可能性があります。

    東京都や兵庫県以外でも自撮り被害を防止することを目的とした条例の改正が近年進められています。現在、児童ポルノについての規定がない茨城県でも今後改正がなされる可能性があるでしょう。

  2. (2)児童ポルノ禁止法違反

    児童ポルノを所持すること、製造することは、児童ポルノ禁止法で禁止されています。したがって、インターネットで見かけた画像を保有していると児童ポルノ禁止法で逮捕される可能性があります。

    児童ポルノ禁止法については、次の項目で詳しく解説いたします。

2、児童ポルノ禁止法について

「児童ポルノ禁止法」の正式名称は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」です。青少年健全育成条例では「青少年」という言葉が使われていましたが、この法律においては「児童」が対象です。

内容としては,児童ポルノの製造や所持の禁止、売春行為の禁止などがあります。まず、児童ポルノを所持するだけで規制の対象となります。また、相手にわいせつな自撮り画像を送るよう依頼し、実際に送られてきたときは、「児童ポルノの製造」に該当する可能性があります。

ただし、禁止されている所持は「性的好奇心を満たす目的で」の所持に限られます。そのような目的を持たず所持していても罪に問われることはありません。同様に、気づかないうちに送り付けられていたとしても罪にはなりません。ただし、18歳未満の恋人に対し性的好奇心を満たす目的で自撮り写真を送ってもらい、所持していると逮捕される可能性があるので注意しましょう。

3、児童ポルノ禁止法違反による量刑

未成年に対し、自撮り写真を要求し、これを所持した場合は、児童ポルノ法違反に罪に問われ、有罪となったときは1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。しかしこれは単純所持の場合に適用される罰則で、入手した児童ポルノを提供したり製造したりしたケースで有罪になれば、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されます。

つまり、18歳未満の児童にわいせつな自撮り画像の送信を依頼して、撮影してから送信させた場合は「製造」とされる可能性があり、より重い処罰を科されることになるでしょう。

4、逮捕後の流れ

それでは、実際に逮捕されてしまうと、どのような流れで手続きが進むことになるのか解説していきます。

  1. (1)「現行犯逮捕」と「通常逮捕」

    わいせつ画像を自撮りさせた容疑で逮捕されるケースでは、大きく「通常逮捕」と「現行犯逮捕」が考えられます。

    「通常逮捕」は、警察が裁判所に対して令状を請求して認められたら逮捕に踏み切ります。基本的には犯行当日ではなく後日、逮捕されるという流れになります。わいせつな自撮り画像の送信を要求した場合は、通常逮捕になるケースがほとんどでしょう。

    これに対し「現行犯逮捕」は、目の前で犯罪行為が行われている場合に令状を待たずに逮捕するというものです。

  2. (2)72時間の身柄拘束と20日間の勾留

    逮捕されると,まず警察による取り調べが行われます。そして,警察は,48時間以内に、検察に事件を引き継ぐのか、釈放するのかを判断します。

    検察に事件を引き継ぐことになった場合、事件や身柄は検察へ送致されます。送致を受けた検察官は24時間以内に勾留の必要性を判断します。「勾留(こうりゅう)」とは、最大20日間拘置所などに身柄を拘束される処置です。逃亡や証拠隠滅の恐れがあると検察官と裁判官が判断した場合、勾留されてしまう可能性があります。

    勾留が必要ないと判断されれば、「在宅事件扱い」となり、家に帰って日常生活を送りつつ、取り調べなどの必要がある場合だけ、警察署や検察庁を訪れることになります。

  3. (3)起訴不起訴と刑事裁判

    取り調べが終わると、検察官は「起訴」か「不起訴」を判断します。

    起訴すると決定した場合は刑事裁判が開かれます。不起訴となれば、無罪釈放です。起訴するかどうかの判断材料のひとつに被害者との示談ができているかどうかが含まれます。早期に示談交渉を行うことが重要です。刑事裁判が開かれると99%以上の確率で有罪となりますので、ほぼ必ず前科がつくと考えたほうがよいでしょう。なお、求刑が罰金刑ではない場合は、執行猶予付き判決を求めることになります。

5、逮捕者の家族ができること

身内から逮捕者が出た場合、家族がまずやるべきことは弁護士に相談することです。

自撮りのわいせつ画像を要求して逮捕された場合、逮捕から72時間は家族でも接見(面会)することができません。閉鎖空間で厳しい取り調べを受けます。罪を犯していない人でも、「私がやりました」と証言してしまうことがあるほど、精神的に追い詰められる可能性もあるでしょう。

この際、唯一、接見が許されている弁護士への依頼は必要不可欠です。接見を行った弁護士は、状況を本人から聞き、弁護方針を決定します。家族からのメッセージも伝えることができるため、逮捕された本人にとって、心の支えにもなることができるでしょう。

また、逮捕後早い段階で弁護を依頼することで20日間の勾留を回避できる可能性もあります。勾留されなければ、少しでも早く日常生活に戻ることも可能となります。できるだけ早い段階で弁護を依頼して、「勾留が必要ないこと」を検察官や裁判官に主張しなければなりません。

同時に、被害者との示談交渉も進める必要があります。検察や警察、裁判官は、示談成立の有無を非常に重視します。示談が完了すれば、不起訴になったり罪が軽くなったりする可能性がでてきます。

これらの動きを素早く行えるのは、家族だけです。
各種条例や、児童ポルノ禁止法などの弁護実績が豊富な弁護士に依頼して、1日も早く弁護活動をスタートし、身柄の拘束や実刑判決を避けるように働きかけることをおすすめします。

6、まとめ

わいせつな自撮り写真を要求することは、たとえ写真の入手に成功しなくても違法行為になる可能性があります。

さらにこのような写真の所持は児童ポルノ禁止法による処罰対象にもなります。もしあなたの家族がこのような行為によって逮捕された場合は、できるだけ早い段階で、弁護士に相談することをおすすめします。逮捕直後に弁護活動をスタートすることによって、今後の人生への影響を最小限に抑えることができるでしょう。

万が一のときはひとりで抱え込まず、まずはベリーベスト法律事務所 水戸オフィスへ相談してください。児童ポルノ禁止法違反や各種条例違反など、刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士が、素早く最適な弁護活動を行います。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています