身内が結婚詐欺で逮捕された! 詐欺罪の量刑や逮捕後の流れとは

2019年07月19日
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身内が結婚詐欺で逮捕された! 詐欺罪の量刑や逮捕後の流れとは

最近のニュースでは、外国人男性がSNS上などで知り合った日本人女性をだまして金品を奪い取った「国際ロマンス詐欺」に関する話題が取り沙汰されています。
こうした詐欺は、国際的なものだけでなく日本人同士でも問題になることは当然あります。
結婚詐欺などで逮捕される場合には、詐欺罪が成立するかの判断が難しく争われることも多いものです。
本コラムでは、身内が結婚詐欺で逮捕された場合の詐欺罪の量刑や逮捕後の流れそしてご家族ができることをベリーベスト法律事務所 水戸オフィスの弁護士が解説していきます。

1、結婚詐欺とは

  1. (1)結婚詐欺とは

    結婚詐欺とは、結婚する意思がないのに相手をだまして金銭などをだまし取る詐欺です。
    手口としては、結婚の意思がないのに「あなたと結婚するためには以前付き合っていた人との手切れ金が必要だ」「結婚して店を開業するための資金が必要だ」などと言ってお金をだまし取るパターンなどがあります。

  2. (2)結婚詐欺は詐欺罪に該当する可能性がある

    結婚詐欺という言葉が一般的に使用されることは多いものの、刑法で結婚詐欺罪という罪名はありません。
    結婚詐欺の場合に成立する犯罪は、詐欺罪になります。
    したがって身内が結婚詐欺で逮捕された場合には、詐欺罪に該当するかどうかという点が争われることになります。

2、結婚詐欺で詐欺罪が成立するケースとその量刑

  1. (1)結婚詐欺で詐欺罪が成立するケース

    詐欺罪とは、人を欺(あざむ)いて財物をだまし取った場合などに成立する犯罪です(刑法第246条)。
    詐欺罪が成立するためには、一般的に次のような要件を満たしている必要があります。

    ●欺罔(ぎもう)行為があったこと
    欺罔行為とは、被害者を欺いてだます行為をいいます。

    ●相手側の錯誤があったこと
    加害者の欺罔行為によって、被害者が真実とは異なる事実を真実であると誤信することです。

    ●処分行為があったこと
    錯誤によって、被害者が財産の処分を行ったことです。

    ●財物の処分による損害の発生があったこと
    被害者が財産を処分するなどして損害が発生することです。

    被害者から現金などを受け取る前に逮捕された場合には、詐欺罪の未遂が成立します。
    結婚詐欺の場合には、たとえば加害者には結婚する意思がないのに「結婚式場に支払う費用200万円が必要だ」などとだまして、それを信じた被害者から200万円を受け取った場合には詐欺罪が成立します。
    それぞれのケースにおける具体的な詐欺罪成立の可能性については、弁護士に確認するとよいでしょう。

  2. (2)結婚詐欺の量刑とは

    詐欺罪が成立した場合には、10年以下の懲役刑となります。
    詐欺罪になれば、執行猶予が付くことはありますが罰金などで済むことはないため、それだけ重い犯罪と考えられています。

3、結婚詐欺で逮捕された後の流れはどうなる?

結婚詐欺で逮捕された場合には、主に次のような流れになります。

  1. (1)逮捕

    逮捕後は、被疑者として警察署に連行され取り調べを受けることになります。
    そして警察では、取り調べで聴取された内容をもとに「調書」が作成されます。
    「調書」の内容に事実と異なる点がある場合には、被疑者は訂正を求め署名などを拒否する必要があります。
    警察は、逮捕後48時間以内に検察官に事件を送致するかどうかを判断しなければなりません。

  2. (2)検察官送致・勾留

    検察官に送致されると、検察官が被疑者から話を聞く弁解録取が行われます。
    作成された「弁解録取書」に関しては、警察の「調書」と同様に被疑者は事実と異なる部分がないか確認して適切な対応をとる必要があります。
    検察官は、送致されてから24時間以内に勾留請求するかどうかを判断します。
    勾留とは、被疑者が住所不定であったり逃亡や罪証隠滅のおそれがある場合に、身柄を引き続き拘束する手続きのことをいいます。
    勾留が決定すれば、勾留請求から10日間身柄を拘束されることになります。また勾留延長が認められた場合にはさらに10日間延長されるので、勾留期間は最大20日にも及ぶことがあります。

  3. (3)起訴・不起訴

    事件を刑事裁判で裁く必要があると検察官が判断する場合には、裁判所に対して起訴がなされます。
    起訴された場合には、原則として判決が言い渡されるまで身柄の拘束が続くことになります。
    一方不起訴と判断された場合には、釈放されます。前科がつくこともありません。

  4. (4)刑事裁判

    起訴された場合には、裁判で詐欺罪についての主張や立証や反論が重ねられた上で最終的には有罪または無罪判決が言い渡されることになります。
    言い渡された判決に不服がある場合には、控訴・上告することができます。

4、ご家族ができることとは

身内が結婚詐欺で逮捕されたことを知ったご家族は、冷静ではいられないものでしょう。しかし刑事事件においては、早い段階で刑事事件の実績が豊富な弁護人を選任できたかがその後の展開に大きく影響します

身柄拘束された被疑者に関わる弁護人としては、私選弁護人のほかに国選弁護人や当番弁護士が考えられます。私選弁護人とは、本人やご家族が自らの意思で選ぶ弁護士のことをいいます。
国選弁護人や当番弁護士には費用面などでのメリットがありますが、本人やご家族の自らの意思で特定の弁護士を選ぶことはできず刑事事件の経験が豊富な弁護士に当たるとは限りません。
したがって、刑事事件の経験が豊富な私選弁護人を一刻も早く選任することが重要であるといえます。
そのため、ご家族には、逮捕された身内のために一刻も早く私選弁護人を選任するという大切な役割があるといえるでしょう。

5、結婚詐欺で逮捕された場合に弁護士ができること

結婚詐欺で逮捕された場合には、弁護人である弁護士は主に次のようなことができます。

  1. (1)逮捕直後から面会してアドバイスできる

    逮捕直後は、原則としてご家族でも本人に面会できません。
    しかし弁護士は面会時間の制限なく自由に面会することができます。逮捕直後の取り調べは精神的にも肉体的にも非常に厳しいものです。弁護士は、本人に対して、取り調べでの適切な対応方法をアドバイスすることができます。

  2. (2)被害者と示談交渉できる

    詐欺罪においては、被害者との示談成立の有無が起訴・不起訴の判断に影響することも多いものです。
    日本の場合、起訴されると有罪になる確率が非常に高いため、可能な限り示談を成立させて不起訴を目指す必要があります。
    しかし、加害者本人やご家族が被害者と示談交渉をしても、冷静な話し合いを期待することは難しいといえます。
    ただ、弁護士であれば、被害者も話を聞く姿勢をもってくれる可能性が高まりますので、被害者との冷静な話し合いが期待でき、示談成立の可能性が高まります。

  3. (3)勾留阻止や不起訴に向けた弁護活動ができる

    逮捕による社会的な影響を最小限に抑えるためには、まず長期間の身体的拘束である勾留を防ぐことが重要になります。
    弁護士は、勾留決定の権限を持つ裁判官に対して勾留を阻止するための要請を行うなどの弁護活動を行うことができます。
    また勾留が決定した場合でも、起訴になれば有罪の確率が非常に高いので可能な限り不起訴を目指す必要があります。
    弁護士は、不起訴を獲得するために有利に働く証拠を収集するなどの方法で起訴・不起訴の権限を持つ検察官に対して働きかけるといった弁護活動を行うことができます。

  4. (4)無罪や減刑に向けた弁護活動ができる

    起訴されて裁判になった場合には、弁護士は裁判に有利な証拠を収集して提出するなどの方法で無罪や減刑に向けた弁護活動を行うことができます。

6、まとめ

本コラムでは、身内が結婚詐欺で逮捕された場合の詐欺罪の量刑や逮捕後の流れ、そしてご家族ができることを解説しました。
詐欺罪で有罪になった場合の量刑は、決して軽いとは言えません。
そのため、ご家族は早期から刑事事件の実績が豊富な弁護士を選任することが重要になります。
刑事事件はスピード勝負です。身内が結婚詐欺で逮捕されてしまったというような場合には一刻も早くベリーベスト法律事務所 水戸オフィスまでご連絡ください。

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