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死後離縁は相続に影響する? 相続発生後の養子縁組解消とは何か

2021年03月11日
  • その他
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死後離縁は相続に影響する? 相続発生後の養子縁組解消とは何か

養子縁組をした相手である養親や養子が亡くなってから、養親子の関係を解消することを死後離縁といいます。

死後離縁は、養子縁組により生じた親族関係や相続の問題を重荷に感じてなされるケースがほとんどです。

統計によれば、茨城県では令和元年の1年間で611組が養子縁組を解消しており、養親または養子が亡くなってからなされた死後離縁は58件でした(出典 戸籍統計・司法統計)。

死後離縁をすれば、相続の問題に煩わされることもなくなるのではないかと考えられるかもしれませんが、これらは別の問題として解決しなければなりません。

本コラムでは、死後離縁の方法や効果、相続に関して注意したい点を中心に弁護士が解説します。

1、死後離縁をする意味や法的効果

民法では、「縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる(811条6項)」と規定されています。
まずは、養親または養子の死後に離縁をすることの意味について解説します。

  1. (1)養子縁組の効果

    養子縁組には、次のような法的効果があります。

    養子縁組の日から

    • 養子は養親の実子と同等の身分を取得する(民法809条)
    • 養子と養親及びその血族との間で血族と同一の親族関係が生じる(民法727条)


    「血族」とは、親や子ども、祖父母、兄弟姉妹など血縁関係のある親族のことです。

    つまり、養子縁組によって養子は養親の血族のひとりとして加わることになり、相続や扶養の権利義務が生じることになります。

    なお、養子縁組の時すでに養子に子どもがいる場合、その子どもは養方の血族とはなりません。

  2. (2)養親の死後も存続する権利・義務

    養子縁組による生じた親族関係は、縁組をした当事者が亡くなっても、影響を受けることはありません

    従って、養親が亡くなった以降も養方の血族として、次のような権利義務が発生することがあります。

    ●相続
    養親の親や祖父母、兄弟姉妹について相続が発生した場合、養親を代襲して相続人となる可能性があります。

    相続に関しては次章で詳しく解説します。

    ●扶養
    直系血族(親や子ども、祖父母など)と兄弟姉妹は互いに扶養し合う義務があります(民法877条1項)。

    養親の親や祖父母、実子が生活に困窮した場合、余力がある範囲で援助をする義務が生じる可能性もあります。

  3. (3)死後離縁の手続き

    養子縁組の解消は、養親、養子とも存命であれば離縁届を役所に提出するだけで手続きは終わります。

    しかし、一方が死亡している場合には、家庭裁判所から死後離縁の許可を受けなければなりません(民法811条6項)。

    養子縁組やその解消は、当事者の意思が尊重されるべき行為といえますが、死後離縁の場合は、遺産を相続しながら扶養の義務を免れようとするケースがないわけではありません。

    そこで、家庭裁判所が死後離縁による他の親族への影響などを審査した上で許否の判断がされることになっているのです。

    死後離縁の許可申請ができるのは、遺族となった養子または養親です。養子は未成年であっても、15歳以上であれば自ら申請をすることができます。

  4. (4)死後離縁後の戸籍や名字

    家庭裁判所により死後離縁が許可されると、養子縁組により生じていた親族関係が解消します。

    市区町村役場へ届け出を行い、養子縁組前の戸籍に戻るか、新たな戸籍を起こすか選択することができます。

    養子縁組中に名乗っていた氏(名字)は、原則として養子縁組前の氏に戻ります。

    ただし、縁組の期間が7年を超えている場合、離縁の日から3か月以内に届け出ることによって養親の氏を称することもできます(民法816条)。

  5. (5)死後離縁と死後離婚の違い

    婚姻は、血縁関係にない人同士が新たな親族関係を形成する、という点で養子縁組と似た関係にあります。

    婚姻によって、配偶者の親族とは「姻族」という親族関係になります。

    姻族の場合、

    • 家庭裁判所から扶養義務者として指名される可能性(民法877条2項)
    • 同居している場合は相互に扶け合う義務(民法730条)


    があるだけで、養子縁組のように、相続が生じることはありません。また、原則として扶養の権利義務が生じることもありません

    そのため、配偶者が死亡した後に姻族関係を解消しようとする場合は、家庭裁判所の許可を受ける必要はなく、市区町村役場へ「姻族関係終了届」を提出すればいいことになっています(民法728条2項)。この届け出を「死後離婚」ということもあります。

    死後離婚によって姻族関係は解消されますが、亡くなった配偶者との間に子どもがいる場合、子どもの親族関係に影響はありません

    つまり、子どもからみて配偶者側の祖父母や叔父叔母との間では、相続や扶養の権利義務が存続することになります。

  6. (6)特別養子縁組制度とは

    適切な監護者がいない子どもの福祉や利益を図るため、「特別養子縁組」という制度があります。

    一般的な養子縁組とは異なり、より実の親子関係に近づけるための制度設計がなされており、普通養子縁組とは次の点で大きく異なります。

    • 縁組には6か月の試験期間と家庭裁判所の審判が必要
    • 実方との親族関係は消滅する
    • 養親の虐待や悪意の遺棄などがなければ、離縁はできない


    特に離縁については、法律で明記された理由による場合以外は認めないこととされています(民法817条の10第2項)。
    従って、特別養子縁組の場合は養親や養子の意思で離縁をすることはできません。

2、養子縁組解消が相続に与える影響

次に、養子縁組を解消した場合、相続関係がどのようになるのか解説します。

  1. (1)相続の開始と相続人

    相続は被相続人(財産を遺す方)の死亡により開始します(民法882条)。
    相続人となるのは、被相続人の配偶者と次の順序に従い、最も上位の血族です。

    ① 直系卑属(子どもや孫)
    ② 直系尊属(親や祖父母)
    ③ 兄弟姉妹

    養親が亡くなった場合、養子は第1順位の血族相続人になるため、被相続人の配偶者とともに相続人となります。

  2. (2)養子縁組解消の効力

    養子縁組の解消は、市区町村役場へ離縁届を提出して受理された時をもって効力が生じます(民法812条、739条1項)。

    死後離縁の場合は、家庭裁判所の許可を受けていなければ離縁届は受理されません。
    離縁届が受理されると、将来に向かって養方との親族関係が解消することになります。

  3. (3)死後離縁と相続人の地位

    相続人は相続開始時の親族関係により決まります。

    相続開始時に養子であった場合は、相続人としての地位が確定し、その後に養子縁組を解消したとしても、相続人の地位には影響がありません

    一方、養親の存命中に養子縁組を解消した場合は、相続開始時には養親の血族ではないことから、相続人となることはありません

    ただし、祖父母が相続税対策などを目的として孫と養子縁組をしているようなケースでは、養親子としての関係が解消しても、血縁関係によって相続人となることもあるため注意が必要です。またこのケースでは、養子縁組が存続しているうちは、祖父母の子ども(孫の親)と孫の関係は、親子であると同時に兄弟姉妹にもあたることになります。

3、養子として相続人となった場合の対処方法

死後離縁により養子縁組を解消したとしても、相続人としての地位がなくなるわけではないため、仮に相続の問題があった場合には、別途解決しなければなりません。

ここでは、対処法について解説します。

  1. (1)相続したくない場合-相続放棄

    相続人となった場合の選択肢は、次の3通りがあります。

    ① 権利・義務のすべてを相続する(単純承認)
    ② 権利・義務を一切相続しない(相続放棄)
    ③ 相続財産で負債を清算し、残った財産があれば相続する(限定承認)

    遺産を一切相続したくない場合は、家庭裁判所で相続放棄申述の手続きをとる必要があります。

    相続放棄の申述は、相続の開始を知った時から3か月以内に行う必要があります(民法915条)。

    相続放棄の申述をすると、初めから相続人ではなかったことになります(民法939条)。

    しかし、次のような場合には、家庭裁判所は相続放棄の申述を認めないことがあります(民法921条)。

    ①被相続人の相続財産を処分した場合
    被相続人が所有していた財産を売却したり、他人に贈与した場合、「単純承認」をしたとみなされ、相続放棄が認められないことがあります。

    被相続人が使用していた衣類や装飾品などを形見分けとして遺族が分け合うことがありますが、これが単純承認とみなされる可能性もあります。

    ②相続の開始を知った時から3か月以内に相続放棄をしなかった場合
    ③相続放棄をした後であっても、相続財産を隠匿するなどの背信的行為をした場合

  2. (2)相続する場合-遺産分割協議

    相続人として遺産を受け取る場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、具体的な相続分を決めることになります。
    遺産分割協議の中で遺産の受け取りを辞退したり、相続分を他人に譲渡したりすることも不可能ではありません。

    しかし、相続放棄とは異なり、相続人としての地位がなくなるわけではなく、被相続人に借金がある場合には、法定相続分に応じた返済の責任を免れることはできません。

    相続に巻き込まれたくないとお考えの場合は、相続放棄をするのが無難といえます。

4、相続や離縁に当たって弁護士のサポートを受けるメリット

死後離縁を行う場合も、相続放棄の申述を行う場合も、家庭裁判所で手続きを行う必要があります

特に死後離縁の場合、親族関係を解消の目的が明らかに不純ではないことについて、家庭裁判所の理解を得る必要があります。
死後離縁は認められる明確な基準はなく、親族関係や相続の状況などから個別に判断されることになります

また、親族間の関係が良好でない場合には、ささいなことから感情的な対立に巻き込まれる可能性もないとはいえません。

弁護士は、相続に限らず親族間トラブルへの対応の経験も豊富なので、死後離縁の手続きを進めるタイミングなどについても適切なサポートが可能です。

また、相続に関する交渉や手続き、家庭裁判所で行う手続きは、弁護士に委任してすべて代行してもらうことも可能です。

5、まとめ

死後離縁は、養方との親族関係を解消して気持ちの整理をするという側面もありますが、扶養や相続といった権利義務が絡む問題でもあります。

俗に「親子の縁を切る」という言い方がされることもありますが、血のつながった親族関係を法的に解消することはできない反面、養子縁組の場合はそれが可能なため、心理的な抵抗を感じられるかもしれません。

しかし、養親の死後に疎遠になった親族関係を放置した場合、思わぬトラブルの種となる可能性もあります。

死後離縁の手続きや相続に関して迷うことやお悩みがある場合は、専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所では、親族関係のトラブルや相続問題に力を入れています。
養子縁組を解消したい、面倒な相続に巻き込まれたくないという方は、一度ベリーベスト法律事務所 水戸オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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